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ヴァイスが笑顔でそれを取り出してから数秒──ぱっ、とそれは跡形もなく消える。
「──お前。それだけは、それだけは許さない。何を考えているんだ」
彼の握りしめられた手の皮膚が軋む音がした。それほどに強く握りしめられた拳。青の瞳には、言葉にならない感情が讃えられている。
「……冗談！ ……じゃなかったんだよな、これが」
「消して正解だったか」
「過去形だ、バーカ。やるならもうとっくの昔に実行してるっつうの」
すとん、とヴァイスの顔から表情が抜け落ちる。先程までは紅潮していた頬からとすっかり色が抜け、代わりに透明な涙が伝った。
「やれなかったんだよ。良くも悪くも、俺は『凡人』だからな」
一旦言葉を切る。
外では雨が降り出したらしい。窓に雨粒がぶつかる。それは水によって出される音のはずなのに、不思議と乾いた音なのだ。
「死ぬのが、怖くなった。それも、縄を作ってる途中にな。だからそれはもとより、使える長さにはなってないんだよ」
「……そうか」
それを最後に、二人の間でまた音がなくなる。乾いた雨の音に、湿った点滴の音。二つの水の音が、辛うじて静寂を防いでいる。
またもうしばらくして、ヴァイスが口を開く。
「お前に一つ、頼み事していいか」
「なんでも」
ぽたり、と点滴の雫が落ちる。それが合図であったかのように、雨が止んだ。夕立のようなものだったらしい。雲がさっと分かれ、紅い太陽が顔を出す。部屋の中は、橙色に包まれる。
「どうか、戦い続けてくれ。お前は、お前だけは」
それは、祈りのような言葉だった。
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紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» なんですかねそれ尊すぎやしませんか？？ そしてそれを桐箪笥さんが書いてくれる、と……（控えろ） (2020年1月1日 0時) (
レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - 紫清さん» なんだかその後に早朝、神社などに思った訪れて御籤を引いてみんなで甘酒でも呑むのかな…と想像してしまいました。ごめんなさい、つい…想像が止まらない… (2019年12月31日 23時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» グレイくんはそういう所Z要領良さそうだなと思いまして笑 私も、彼らの幸せそうな姿が書けて楽しかったです！ (2019年12月31日 22時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - くろせさん» ありがとうございます！ 昇華隊の野郎共はいいですよね！！（負けじと大声） (2019年12月31日 22時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - グレイ…とことんやるだけやって責任放棄ですか、そうですか← 幸せそうなみんなが見れて感無量です！ (2019年12月31日 22時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
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