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「──才人、登壇」

厳かな空気に包まれた講堂を支配していたのは、マイクを通した電子的な声。それを境に、壇上ではどこか誇らしげな足音が、壇下では乾いた、しかし数量により割れんばかりにも聞こえる拍手が響く。
統一テストの結果通知から2週間。ヴァイスも政士も、全くいつも通りであった。
本を燃やすことも、書類を片付けることも、反逆者に尋問を行うことも、自分が立っていたかもしれない場所に立つ者に拍手を贈ることも。
全ていつも通り、模範的にこなしていた。

後に続くのは、美辞麗句で飾られた予備隊隊長の激励。演説部門の才人の、簡素でありながら洗練された文句。それに比べれば多少おぼつかないものの、整った礼の言葉を述べる新規才人。

「──それでは、これより会場を移動しまして、立食形式のパーティーを行います。ぜひ皆様奮って──」

司会の言葉が終わる間もなく、続々と席を立つ音がする。「次こそは」と締まった顔をする予備隊員に、「時間の無駄」と言わんばかりの才人。

「おいヴァイス、お前はどうするんだ?」

ぴんと伸ばしていた背筋を緩ませながら、政士が聞く。講堂ではもはや、パーティーの開催場所が聞こえるか聞こえないか、というほどに騒がしくなっていた。

「一応参加するよ。人脈っつーのはこういう時に作るもんだろ」

さて、と背伸びをしながらヴァイスは立ち上がる。「お前は?」というように、視線だけ彼の方にやった。

「……行くさ。ここでフケたら、いじけてるみたいだもんな」

大きく欠伸をしながら彼も立って、先を歩き始めていたヴァイスの方へ小走りで駆け寄る。
ふつふつと燃える感情に蓋をして笑い合う二人が、この後「事実」に打ちのめされることなど──誰も、知る由もなかった。

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紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» なんですかねそれ尊すぎやしませんか?? そしてそれを桐箪笥さんが書いてくれる、と……(控えろ) (2020年1月1日 0時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - 紫清さん» なんだかその後に早朝、神社などに思った訪れて御籤を引いてみんなで甘酒でも呑むのかな…と想像してしまいました。ごめんなさい、つい…想像が止まらない… (2019年12月31日 23時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» グレイくんはそういう所Z要領良さそうだなと思いまして笑 私も、彼らの幸せそうな姿が書けて楽しかったです! (2019年12月31日 22時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - くろせさん» ありがとうございます! 昇華隊の野郎共はいいですよね!!(負けじと大声) (2019年12月31日 22時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - グレイ…とことんやるだけやって責任放棄ですか、そうですか← 幸せそうなみんなが見れて感無量です! (2019年12月31日 22時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫清 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年5月14日 23時

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