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「お前──なんでここか分かるか」
口から泡と、無意味な言葉を出す合間に男が絞り出す。
「どういうことだよ」
無論、意味のある答えは帰ってこない。畜生、と呟いて再び男と思考を繋げた。
漢字、ハングル、ヒエログリフ。それらに混ざって現れたのは、「地雷」「埋めた」「たくさん」「殺す」「才人」「昇華隊」「政府」「人間」「全部」「革命」。
「野郎っ!」
いくら主犯を逮捕したとはいえ、これで才人を殺してしまっては貰える功績も貰えないというもの。最悪処刑である。
「おい政士、こいつ頼んだ!」
届くかどうかは分からない。喉が張り裂けそうな勢いで叫んで、全力で駈ける。今の、度重なる能力の発動でぐちゃぐちゃになった彼の思考に理性などない。
功績が欲しい。才人になるために。
限りなく本能に近い、そんな思考だけだった。
麻袋が、地面まで3m、2m。

才人サマにこんな扱いしちゃ、俺はクビかもな。

すんでのところで麻袋を蹴飛ばし、空間が切り取られることによって繋がった逆側──地雷など存在し得ない、政士が戦っていた方に着地させる。
軸にした右足の下でカチリ、と音がしたのはその直後のことだ。



「おい才人の容態は!?」
「意識はないが大怪我はない。痣がいくつかあるくらいだ」
「痣なんかどうでもいいんだよ、頭の方だ頭! 今すぐ検査機械にかけろ。この方は今期トップの成績だぞ。それに、大きな技術革新を起こすであろう研究だって途中なんだ!」
「あの昇華隊員、何故蹴るなどという乱暴な真似をした。もっとやりようがあっただろうに、これだから凡人は……」
無事救出された才人の周りには何十人もの人間がついて、言葉を交わし、治療が施されている。対して──。
「おいヴァイス、お前どういうことだよ。一人で何やってんだよ……」
重症を負った昇華隊員に付けられたのは、外科分野の才人一人に、助手として予備隊員が数人。そして、彼が入る集中治療室の前で祈るようにしている友人──政士の、十人にも満たない人数だった。
しばらくして、扉が開いて才人が帰ってくる。政士の方に一瞥すらせず、すたすたと気絶した才人のいる部屋へと歩いていく。
「あの、ヴァイスは──」
「生きてるよ」
そう答えたのは、彼の付き人をしている予備隊員。
良かった、と政士はひとまず胸を撫で下ろした。

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紫清(プロフ) - くろせさん» いえいえ、くろせさんの素晴らしい小説があったから生まれたものなので……! こちらこそ、ありがとうございました! (9月7日 18時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» ありがとうございます! 冥土……政士君に追い返されちゃうんじゃないですかね(迷推理) (9月7日 18時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - これは政士も張り切って待っちゃいますね。また再開した頃にはお返しに1発ぶん殴って欲しいものです(笑) 素敵な文章をありがとうございます! (9月6日 19時) (レス) id: 62819c8559 (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - あ、いい……(尊死)冥土の土産に貴方様のお話を持って行かせていただきますね! (9月6日 19時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - ▼鏡夜▼さん» 良かったです、リクありがとうございました! (8月12日 23時) (レス) id: 85ba6a0490 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫清 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年5月14日 23時

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