才持つ者 ページ11
これは、12年前の話。
『統合国浄化作戦』の実行部隊による決起集会が、集会室で行われていた。
「だからいいかね諸君！ この世に暗部など存在してはいけないのだ！ 見えなければいいと言う問題ではないのだよ！ その辺、君たち凡人にはとくと理解して貰わなければならない！」
そう滔々と演説するのは、哲学分野の才人。最近は政治や行政にも片足を突っ込んでるらしい。
キマッてんな、と参加者のヴァイスはそれを演説のように聞き流す。どうやらこの才人は、自分に酔いしれまくるタイプらしい。
元を辿ると、ヴァイス含めた昇華隊が今回当たる任務、『統合国清浄作戦』は前々から出てはいた話だった。ターゲットのいるK地区は、昔から治安の悪い場所だったが、近年、一般人の組織する自警団では対処不可能なほど黒社会による進出が進んで来ている。
それだけなら良かったのだが、最近の調査で、黒社会は裏図書館協会と繋がりやすいというデータが出たらしく、ならば、と予備隊の中でも粒ぞろいの昇華隊に白羽の矢がたった。
それを受け班を作って、役割を分担して数ヶ月の訓練。何しろ相手は筋金入りのマフィア。一般人から本を奪うのとは訳が違うのだ。
そう一丸になったある日。統括役がひょろ長い男と共にやって来て言った。
「この方は今回の作戦の話を聞き、『マフィア達には、神の愛し子である才人、つまりこの私が鉄槌を下さねば』と思ったらしい。だから、この方を攻撃班に加え、頭目の夫婦のトドメはこの方に刺させるのだ」
「よろしく諸君」
そう言った才人は、繰り返すようだが細く長く、生まれてこの方太陽に当たったことがないのか、と問い詰めたくなるほど青白い肌をしていた。
「足でまとい」そんな言葉がヴァイスの頭の中に浮かぶ。が、思考の表層に上って来る前に打ち消した。そうだ、きっと才人サマには、俺たちの預かりしれぬほどの思考があるのだ、と。
代わりに、「おい嘘だろ」というメッセージを、視線で統括役にぶつける。
──受け取ったらしい。「諦めろ」というように目を閉じて首を振った。
まあ、俺は後処理担当だから関わりないし、いいか。
そう割り切りながら、制圧班に所属する親友の姿を横目で探す。
哀れ。彼は既に、他の隊員からは「犬モード」と言われる状態に入っていた。
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紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» なんですかねそれ尊すぎやしませんか？？ そしてそれを桐箪笥さんが書いてくれる、と……（控えろ） (2020年1月1日 0時) (
レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - 紫清さん» なんだかその後に早朝、神社などに思った訪れて御籤を引いてみんなで甘酒でも呑むのかな…と想像してしまいました。ごめんなさい、つい…想像が止まらない… (2019年12月31日 23時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» グレイくんはそういう所Z要領良さそうだなと思いまして笑 私も、彼らの幸せそうな姿が書けて楽しかったです！ (2019年12月31日 22時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - くろせさん» ありがとうございます！ 昇華隊の野郎共はいいですよね！！（負けじと大声） (2019年12月31日 22時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - グレイ…とことんやるだけやって責任放棄ですか、そうですか← 幸せそうなみんなが見れて感無量です！ (2019年12月31日 22時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
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