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「──君が分からないことも、知らないことも、その答えも、全ては君の中にある。小説とは、それに気づかせるものだよ」
まあそれだけじゃないがね、と付け足す。数秒後──紙に書くようなことを、口に出してどうする! ぼくはこんなの柄じゃないだろ!──そう思った彼は、顔を覆って再び突っ伏した。今度は畳に。
「忘れてくれ……それか、これは何かの本で読んだことにしておいてくれ……」
「えっやだ! 私、やっと分かったのに! それも、尾崎せんせーのおかげで! 何で? 恥ずかしいことじゃないでしょう?」
彼女にとって「分かる」というのは最上の幸せ。興奮で頬を紅潮させ、目を輝かせる若葉は、肩を掴んで尾崎を無理やり起こし、揺さぶる。
「恥ずかしいことなんだよ! こんなのを言っていいのは生徒を導く品行方正な教師か、そうじゃなきゃ文豪クラスの作家だけだ! 少なくともぼくはそんなんじゃない!」
「そんなことないよ! 私にとっては尾崎せんせーは、ぶんごー? より凄いと思うし、何より先生だよ!」
「ぼくが先生方に並ぶなぞ烏滸がましい、もういいから帰れー!!」
そう言われるなり、若葉は猫のように部屋の外へとほっぽり出された。
強く押し出された背中への痛みを、少し暖かく感じながら。新たな理解で興奮する胸を抱きしめながら。
「明日こそ、頑張るぞ」
彼女は、そう呟いた。

翌日。とある隊員に「あなたって李徴にそっくりね! 私も分かる!」と言って、睨まれてしまったのはまた別の話。

才持つ者→←*



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紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» なんですかねそれ尊すぎやしませんか?? そしてそれを桐箪笥さんが書いてくれる、と……(控えろ) (2020年1月1日 0時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - 紫清さん» なんだかその後に早朝、神社などに思った訪れて御籤を引いてみんなで甘酒でも呑むのかな…と想像してしまいました。ごめんなさい、つい…想像が止まらない… (2019年12月31日 23時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» グレイくんはそういう所Z要領良さそうだなと思いまして笑 私も、彼らの幸せそうな姿が書けて楽しかったです! (2019年12月31日 22時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - くろせさん» ありがとうございます! 昇華隊の野郎共はいいですよね!!(負けじと大声) (2019年12月31日 22時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - グレイ…とことんやるだけやって責任放棄ですか、そうですか← 幸せそうなみんなが見れて感無量です! (2019年12月31日 22時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫清 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年5月14日 23時

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