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「本当に家まで送らなくて平気?」
『はい。ご迷惑をお掛けしてすみませんでした…』
あの後再度気絶してしまった私が、次に起きた時刻は19時だった。
私が起きるまで付き添ってくれた保健室の先生は“夜も遅いから送る”と言ってくれたが、其れをやんわり断る。
『其れじゃあ先生、さようなら』
「さようなら。気を付けるのよ」
『はい』
帰り道、歩きながらふと空を見上げると、完全に太陽が隠れ、変わりに月が爛々と光っている。
『綺麗…』
暗闇に光る、一つの儚い光。
其れはまるで…
『太宰さんみたい…』
自然とそう呟いていた事に後々気付いた私は、羞恥で顔が熱くなる。
私、本当に太宰さんの事が…。
??「太宰が…何だって?」
『！』
刹那、私の背後からヒシヒシと感じる何か。
此れは…殺気?
思わず反射的に振り返れば、お洒落な帽子を被った小柄な男性が、顔を顰めながら此方を見ていた。
??「さっきてめぇの口から溢れた青鯖野郎の名前。……やっぱりお前が石川Aか」
此の人、全く気配を感じられなかった。
其れに私の名前を知ってるみたいだし、恐らく何処かの組織の人。
何処だ…。何処の組織の人だ。
考え込んでいると、ふと、ある組織が脳裏に横切る。
『もしかしてポートマフィア…?』
??「お、当たり。大方太宰の野郎が何か吹き込んだのか」
『何が目的ですか』
??「おいおい。流石にもう察してんだろ」
“てめぇの異能力だ”
口元に弧を描きながら教えてくれるポートマフィアの刺客に、下唇を強く噛む。
真逆、探偵社の見張りも、ましてや夜で人が居ない、此のタイミングで来るとは。
??「俺はポートマフィアの五大幹部の一人、中原中也だ。ボスの命令で、悪いがてめぇを捕らえさせてもらうぜ」
明るい月明かりが、私の頬をつぅ…と伝った冷や汗を美しく照らした。
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作者名：ヲタクJK | 作者ホームページ：non@nikoniko
作成日時：2023年3月21日 18時
