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太宰「済まないねぇ。面と向かって言われたのは初めてだから…つい笑ってしまったよ」
ふぅ…と、笑いを抑える為に深呼吸をしている太宰さん。
『其の容姿で…言われた事がないんですか?』
太宰「無いさ。今迄私に言い寄ってきた女性は皆、顔が目当てだと思われたくなかったのだろう。ド直球で言ってきたのは君が初めて」
『イケメンは大変ですね…』
今度、隣の席に座っている田中君にも教えてあげよう…。(イケメンになりたいと毎日叫んでいる田中君)
太宰「そうだ。君の名前を教えてくれないか?」
名前…。
あの子に…“知らない人に名前を教えてはいけませんよ”と言われてたけど、太宰さんはもう知り合いみたいな人だよね。
『石川…石川Aです』
太宰「Aちゃん……。君と似て可愛らしい名前だ。名は体を表すと云うことわざは本当だったのだ!」
そんな口説き文句を言うのも…彼の日常ではよくある事なのだろう。
其れを理解した私は適当に躱す事にした。
太宰「おや…もうこんな時間か」
以外にも長く続いた会話に区切りが付き、ふと店の時計に目をやった太宰さんがそう呟いた。
太宰さんの其の言葉に吊られて私も手元のスマホに目を落とすと、時計は17:30を表示している。
『其れじゃあ…時間も時間なので、私は此れで』
ガタッと席を立ち上がり、微笑んでいる太宰さんにお辞儀をしたら、
太宰「待ち給え」
と、腕を掴まれた。
『どうかされました…?』
首を傾げた私に、太宰さんはスッと傘を差し出した。
太宰「雨宿りの為にうずまきに入ったのだろう? 外はまだ小雨といえど降っている。此の傘を使い給え」
『え、私は雨宿りだなんて一言も……』
太宰「鞄や髪が少し濡れている。恐らく雨が降り出した時に咄嗟に近くにあった此のうずまきに入ったのだろう。傘が無かったから」
太宰「おまけにAちゃんは“何時止むんだろう”と雨の事を気にしていたしね」
最後ににっこり笑った太宰さんに、素直に感心する。
『わぁ…凄いですね。全部大当たりです』
私がふふっと笑えば、彼も吊られて微笑む。
太宰「私は此れでも探偵なんだよ」
『探偵…?』
太宰「あぁそうさ。私は此のビルの上にある“武装探偵社”で働いている…探偵さ」
武装探偵社…。噂では聞いた事があったけど…真逆本当にあるなんて。
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恋雪 - こんにちは恋雪です。最近「文スト」見始めたばかりで、まだ3季くらいまでしか知らないのですが、太宰さん推しです。作者様の表現力すごく高くて尊敬します!!これからも更新待ってます! (2023年3月17日 13時) (レス) @page16 id: dcf3f843ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヲタクJK | 作者ホームページ:non@nikoniko
作成日時:2023年3月16日 2時