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もう終わりか、と少し寂しく思いながら、エスコートされて、マンションに入った。

部屋の中には普通に暮らせるような複数の家具が置いてある。
太宰さんは設置していたカメラで女性を観察し始めた。

「その人が帰ったら、私も帰りますね。」

「駄目。」

いきなり強い口調で制止されて、驚いていると、

「一人で出ていったら危ないよ。あの子、何するかわからないから。今日はここに泊まってくれないか。」

と言って、真剣な目で見つめられた。

「何で先に伝えてくれないんですか。仕事用の鞄しか持ってないし、それに……」

「そんな事より、君の命の方が大切だろう。」

少し腑に落ちないけど、それもそうか。なんて考えていると、肩を持たれて体を壁に押し付けられた。
太宰さんの体も迫ってくる。

「ぅわっ……」

吃驚して押し返そうとすると、太宰さんは焦った表情になった。

「暴れないで。あの子が見てる。」

窓を見るとカーテンが開いていて、その先にいる一人の女性が此方を向いている。

「A」

「はい……」

真剣な声で名前を呼ばれたので、変な声が出た。

「愛してる。」

綺麗な瞳に見つめられて、本当か嘘かなんてどうでもよくなって、甘えた声で答えてしまいそうになる。

必死に唇を噛んで溢れる感情を押し殺す。

「好きだよ」

顔が熱い。直視出来ない。激しくなる鼓動に息が苦しくなった。

太宰さんの顔が近づいて、遂に唇が触れ合った。
余りの苦しさに何も出来ないでいると、太宰さんに解放された。


脚の力が抜けて壁に沿ってしゃがみ込むと、窓の外が見えて女性はいなくなっていた。

「Aちゃんちょっと、大丈夫?」

太宰さんもしゃがんで私の取り乱しように驚いていた。

「太宰さん、急に、そこまで……」

太宰さんは、真っ赤な顔で息を切らして、意味のわからない言葉を発する私に申し訳なさそうに笑った。

「ごめん、やりすぎてしまったよ。」

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設定タグ:短編集 , 文スト , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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秦弓月(プロフ) - お返事が遅くなりすみません。素敵なお話ありがとうございました。 (2018年12月29日 13時) (レス) id: deabd34961 (このIDを非表示/違反報告)
猫又 - 遅くなって本当に申し訳ありません!完成しました。 (2018年12月22日 1時) (レス) id: cc1fa790a0 (このIDを非表示/違反報告)
猫又 - あやなさん» 了解しました!なるべく早く投稿できるようにするつもりですが、少し遅れてしまうかもしれません。 (2018年9月15日 22時) (レス) id: f7b9203701 (このIDを非表示/違反報告)
あやな - その後、彼の側に居たいとポトマを出奔し、ボスの側近として敵組織に与してしまいます。彼女の異能力が悪用されることを恐れた首領から連れ戻すよう命じられた中也さんは…という感じです。よろしくお願いします。 (2018年9月14日 21時) (レス) id: deabd34961 (このIDを非表示/違反報告)
あやな - 猫又さん» 中也さんの方の設定が固まりましたので、コメントさせていただきます。全体のコンセプトは「中也さん×裏切り夢主」です。夢主は中也さんの幼なじみの異能力者で、補佐役を務めていました。しかし、ある時敵のボスに恋してしまいます。(続きます) (2018年9月14日 21時) (レス) id: deabd34961 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:猫又オイル | 作成日時:2017年3月14日 21時

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