メーデー、誘拐されてます【2j3j】

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もう、どれくらいここにいるんだっけ。



光もないこのへやでいつから泣くのを辞めたんだっけ。



ママもパパも助けには来てくれないの。



嫌われてたのかな。



技術が進歩したこの世の中で、何やっても上手く出来なくて。




取り残されていた気はしたの。




そんな中で、わたしを拐った人がいた。




初めは怖くてね、ずっと泣いてたっけ。




ママがお手手を繋いでくれなくて、パパが名前を呼んでくれなくて、お兄ちゃんが抱きしめてくれなくて、ああ近所のお姉さんにも会えなくって。




でも3ヶ月くらいたっても、誰も見つけてくれなくて、目の前のこの人攫いの性別も顔も分からないまま、泣いて助けを求めるのをやめた。





1度だけ、部屋の鍵を閉められていなかったとき、わたしは部屋を飛び出して、冷たい廊下に裸足でたって絶望したの。





長い廊下、いくつもある部屋。その部屋たちからはひっきりなしに泣き声が聞こえて、どんどんと扉が叩かれる音もしたっけ。





ここが地獄なんだ、って。





一生、ここから出られないの、わたし。




一生、人攫い(あいつ)の手のひらの上なんだって。




自然と力が抜けて、立ってられなくなって、耳を塞いで座り込んだ。




『わた、し、っ、もう、出られないの…、ここから、わたし、わたしは、……』




でも出たところで、？




目指していた夢はなかったし、




家族にそれほど愛されていたことは無い。




今更帰ったところで誰が愛してくれるの？




わたしが必要な人はこの世のどこにもいない。





じゃあ、出なくても、いいじゃんか。





『わたしは、……だれなんだろ、』




何となくを生きていた結日Aは誰だったのだろう。

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