泣かないで、笑って？ ２ （桃）

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ふわっと、春の匂いに包まれる。





「気持ちええなぁ」





智洋くんは、のんちゃんと同じ心臓の病気だった。





それでも、毎日私に笑顔で話しかけてくれて、本当にいい子だなって感じる。





「俺な、医者になりたい！」





勢いよく振り向いた智洋くんは、将来の夢を教えてくれた。





「医者になってな、俺やのぞむさんみたいに重い病気の人を、助けたいねん！」


「そっか。智洋くんならできるよ！」





へへっ、って笑う智洋くんの背景で、桜は静かに舞い落ちていく。



その瞬間が、写真のように綺麗で、幸せな空間で。






いつまでもこんな風に幸せでいられますように、と、心の中で願った。



空にかざした左手の指輪は、太陽に反射してキラキラと輝いている。



「その指輪、綺麗でええな」


「昔からこういうのはセンス良くて」



ずっとそばにいてくれた。

これからも隣で守ってくれると誓ってくれた。




そんな彼とのこれからの生活は、きっと悲しいこともあると思う。


そんな時は、あの日の言葉を思い返して笑おう。







のんちゃん。

私、幸せだよ。

だからさ、のんちゃんも、

ずっと泣かないで、笑っていて___？





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どこかで、のんちゃんがふわって笑った気がした。









『泣かないで、笑って？』終わり








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