泣かないで、笑って？（桃） (ページ10)

今日:8 hit、昨日:6 hit、合計:76,586 hit

○１０ページ10

.

のんちゃんの、部屋。

のんちゃんの、病室。

スッキリと片付いていて、大毅の部屋とは大違い。

.

「なんか、新鮮」

「そうやなぁ。俺の部屋にベリーちゃんがおるの新鮮やな」

のんちゃんの部屋は、大阪の街並みが窓からよく見える、一人部屋だ。

.

ベッドの横の椅子に座って、のんちゃんと他愛ない会話をした。

「そう言えば、ベリーちゃんの友達、いつ会えるん？」

「あっ！忘れてた」

.

大毅と会わせるって話をしていたことをすっかり忘れていた。

「もうすぐ退院しちゃうんだけど、それまでに連れてくるよ！」

.

退院なんやぁ、って羨ましそうに遠くを見つめるのんちゃんを見ていたら、また悪いことしちゃったなって少し反省。

.

「ま、ええわ。今日はベリーちゃんといちごミルクで我慢するー」

どこからそんなに出てくるのか、と疑うほどのんちゃんはいつでもいちごミルクを持っていた。

.

相変わらず甘いけど、学校で疲れた体には凄くよくしみた。

.

いちごミルクばかり飲むのんちゃんに、こればっかりずっと飲んでたら飽きちゃうよ、って言っても、

「飽きへん飽きへん！」

と、その一言の一点張り。

.

.

でも、そんな言い合いや温かい空間は、全てが新鮮でとっても楽しかった。

今の私には、幸せすぎるくらいに。

.