今日:14 hit、昨日:6 hit、合計:76,592 hit
小｜中｜大
○３２ ページ32
.
「せや、今日は一緒に帰らへん？」
.
ちょっと前は一緒に帰っていたけど、のんちゃんに会いに行くようになって、一緒に帰る回数も減った。
「私病院寄るけど…」
「たまにはゆっくり帰ろうや。いつも急ぎ足で病院行くやんか」
そう言われればそうだ。
特に最近は、のんちゃんが目を覚ましているのではないかと期待して、ホームルームが終わったらすぐに学校出て行くから、帰りが大毅と一緒にならなかったんだ。
だから、今日くらい大毅とゆっくり帰ろう。
そう思った。
.
そして放課後。
「ふふっ、なんか久しぶりやなぁ、この感じ」
大毅は中学の頃からさりげない優しさを感じるところがあった。
例えば今だって、意識しているのかはわからないけど、車道側を歩いてくれる。
「大毅は優しいね」
「え、急になんや」
「んーん、別になんでもない」
なんやねんもう、って照れたように笑う大毅に、私も自然と笑顔になれた。
この時間が好きだ。
大毅と一緒に笑いあえるこの時間が。
.
だからあの日見た夢を思い出すと、すごく怖くなる。
いつか大毅に突き離されてしまう日が来るんじゃないかと。
そんな事に怯えている私は、周りの誰よりも弱いから、大毅の前でも強いふりをして笑った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 213人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えぇふぇす | 作成日時：2018年2月15日 23時
