会いたくないランキング2 ページ9
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その中には間違いなく、新一くんもいるだろう。
ここで怪しがられると、色々とマズいと思ったところでようやく頭が働きだし、早急に返事をすることにした。
「……はい。その手を放していただけますか。」
「今日はシフトの日なんですよね?本当は予定など無いのではありませんか。」
その言葉にぐうの音も出ない。
この男は、私のシフトまで把握しているのか。
何もかも抜かりない降谷さんに私は何も言い返せなくなってしまう。
「僕、Aさんに一目ぼれをしてしまいました。」
照れたような顔をして、私にそう言う降谷さん。
「……へっ?」
言われた事の内容を理解して、反射的に間抜けな声が出てしまう。
降谷さんの本心でない事は重々承知しているが、私に告白する意図が分からない。
真っ直ぐ見つめてくるその瞳に耐えきれなくて、後ずさる。
何、考えてるの。ドキドキではない恐怖に私の心臓はぐっと加速した。
「僕と付き合ってくれませんか。」
キャーー!という悲鳴によく似た歓声がポアロの客席中で沸き立つ。
どうやら、コナンくんと話していた隙に女子高生のお客さんが増えたらしい。
考えれば、考える程に私の頭は混乱していく。
ベストな返答は何だ。
ここでYESと受け取る利点が私にない為、答えはもちろんNOだ。
「申し訳ないですが、お断りさせていただ、」
「そうでした。僕としたことがすっかり早とちりしてしまいました、まずはお友達からですよね。」
「あの、そういう意味では、」
「何か言いました?早く、仕事に戻りましょう。」
再度、腕をガシリと掴まれ、引きずられるようにしてお店の中へと連れ戻される。
……何、コレ。
めちゃくちゃに振り回されているからか、展開に頭が追いつかない。
さっきの告白はナシってことでOK?
覚束ない足取りで、カウンター席のあたりまで来るとお店を出るときに脱いだエプロンを降谷さんに着せられる。
そして、はたから見れば前から抱きしめられるような形で、後ろの紐をくくられる。
引き寄せられた瞬間に、香る10か月前と変わらない降谷さんのシャンプーの匂い。
物理的に縮まった距離。私は柄にもなく緊張してしまっていた。
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蓮生 - 面白いです! (2020年5月6日 17時) (レス) id: 7a1e1b26c0 (このIDを非表示/違反報告)
カルム(プロフ) - やば…降谷さん可愛すぎる… (2019年12月2日 12時) (レス) id: a52b3e9031 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 壟薇さん» ありがとうございます。更新頑張ります!原作開始時で、24歳の設定になります。 (2019年11月20日 0時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
壟薇 - 面白いです!更新頑張ってください!質問ですが夢主ちゃんは何歳なのでしょうか? (2019年10月28日 21時) (レス) id: ba5f7bf38b (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 雨上がりのcrewさん» ありがとうございます。自分の趣味を詰め込んだ作品でもあるので、私得と思ってもらえて嬉しいです……!更新頑張ります! (2019年7月9日 0時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一 | 作者ホームページ:https://twitter.com/ninoma_e
作成日時:2018年10月6日 19時