全方位から狙われています。【名探偵コナン】２

会いたくないランキング１ ページ8

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「コナンくん、来ていたんですね。」
「さっきまでAお姉さんと話してたんだ！」
「へえ……」

新一くんに指差された私の方へ体を向けて、さわやかな笑顔で会釈してくれる安室さんもとい、降谷さん。
……嘘でしょ。こんな偶然ある！？
パチパチと無意味に瞬きを繰り返してみるも、目の前の男性は何処からどう見ても降谷さんな訳で。
もしかすると、降谷さんによく似た金髪に色黒のイケメンなのかもしれない、なんてほぼ確立的にゼロパーセントの仮定に縋ってしまう。
私と目の前にいる男性は他人だ。他人、他人……
現実逃避も良いところだ。そんなことあるハズがない。
ここは一先ず、逃げよう。

「すみません、梓さん！急用を思い出したので、帰らせてもらっても大丈夫でしょうか。安室さんもいることですし、今度、給料分の倍働くので！」

非常識なことは重々承知していたが、この空間に私はいちゃいけないのだ。
その場からは動かずに大きめの声で梓さんにそう告げた後、私はポアロの入り口がある後ろのほうへゆっくりと体の向きを変えた。
いつか、降谷さんと会う日が来るのは分かっている。
でも、それは今じゃない……！

あと少し。
もう一歩で外に出られるというのに、私の右手はポアロの扉に届かず、むなしくも空を切ってしまう。
金髪の彼に腕を掴まれたのだ。
……ああ、この手は完全に降谷さんだ。
力を込められた腕に動けるハズも無くて、私に残された選択肢は振り返ることのほかなかった。

「もう帰ってしまわれるのですか。」

何キャラなんだ。一体。
私の知っている降谷さんとは１８０度違う口調と態度に、目を疑う。
降谷さんの方がずいぶんと背が高いのに何故か上目がちな瞳が揺れていて、どこか弱々しそうな雰囲気を醸し出している。
それに加えて、降谷さんから敬語で話しかけられた。
持った感想は違和感を通り越して、気持ち悪いだった。

だからと言って、本物の降谷さんに”気持ち悪い”だなんて事は死んでも言えそうになくて、私はただただ硬直する。
降谷さんから目を逸らしたくて、視線を横に動かすとポアロにいるお客さんたちが目に入った。
お客さんの視線が私たちに集中している。





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