コナンくん3 ページ7
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ジト目でこちらを見てくる新一くんにいたたまれないような気持ちになった。
内心、メチャクチャ怒ってそう。
私と新一くんは五年前からの知り合いであった。
しかし、2年ほど前に私が警察学校に入ってから連絡を取る回数が減り、公安に就職してからは忙しいのに加え、新一くんに嘘を付くのには罪悪感があった為、全く会わずにいた。
本来ならば、私は怒鳴り散らされても何も言えないことをしている。
それを咎めないでくれるのは彼なりの優しさなのだろう。
久しぶりに再会した新一くんがまさか、こんな姿になっているだなんて夢にも思わなかったけど。
「大学を卒業して、就職活動で忙しかったの。連絡怠って、ごめん。」
「へえーー、どこに就職したんだ?」
嫌味ったらしく言われる。
何と、答えようか。
公安だとカミングアアウトする気は更々無いが、何せ蘭ちゃんのお父さんは探偵さんだし、たまたま殺人現場で鉢合わせ……なんてことがあるかもしれない。
そうなると困る。非常に困る。
うまい具合に誤魔化すか。
「警察官になったよ。おじいちゃんが元警察官だし。」
「結構エラい人なんだっけ?たしか、服部がそう言ってたような……」
「服部くんって誰?」
「えっと、服部は大阪の高校生探偵で……」
自然と話が脱線した為、自分の部署までは聞かれずに済んだ。
冷や汗をかいた。
新一くんは執拗に、真実を突き止めようとする癖がある。
それは彼の良い部分でもあるのだが、私にとっては脅威でしかない。
ふとお店のことを思い出して、しゃべりすぎてしまったな、なんてことを考える。
「新一くん、そろそろポアロに戻ろっか。」
「そうだな。このあとの事話したいんだけどバイト終わった後、時間あるか?」
「あるよ。5時ぐらいになっちゃうけど大丈夫?」
「大丈夫。迎えに行くから5時にポアロの前で待ってて。」
店前まで歩くと、怪しまれないようにコナンくんの姿の新一くんと他愛ない会話を交わす。
「絶対、コナンって呼んで」としつこく念を押された。
うっかり新一くんって、呼んじゃわないように気を付けないと。
ポアロの扉を開ける。
コナンくんを先にお店に入れてあげると、「あ。」と小さく声を発した。
「安室さん!」
……安室さんって誰?
そう思い前を向くと、心臓が止まるかと思った。
何で、ここにいる!?
今、会いたくないランキングぶっちぎり1位の彼が笑顔でカウンターの前に立っていた。
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蓮生 - 面白いです! (2020年5月6日 17時) (レス) id: 7a1e1b26c0 (このIDを非表示/違反報告)
カルム(プロフ) - やば…降谷さん可愛すぎる… (2019年12月2日 12時) (レス) id: a52b3e9031 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 壟薇さん» ありがとうございます。更新頑張ります!原作開始時で、24歳の設定になります。 (2019年11月20日 0時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
壟薇 - 面白いです!更新頑張ってください!質問ですが夢主ちゃんは何歳なのでしょうか? (2019年10月28日 21時) (レス) id: ba5f7bf38b (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 雨上がりのcrewさん» ありがとうございます。自分の趣味を詰め込んだ作品でもあるので、私得と思ってもらえて嬉しいです……!更新頑張ります! (2019年7月9日 0時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一 | 作者ホームページ:https://twitter.com/ninoma_e
作成日時:2018年10月6日 19時