かわいい子には要注意4 ページ36
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賢二郎の声が廊下に響いた。ああ、世界で一番聞きたくなかった声だ。続いて二人がこっちにやってくるのが見える。
「Aっ……?」
「Stellaの皆様、変な虫に付きまとわれてさぞかし不快だったでしょう。今片づけますから。」
「おい待て、Aは、」
賢二郎の静止の声を無視して、合図が出される。でも、そんなこと耳に入らないくらい頭は混乱していた。
「莉子、ちゃん……?」
柱の近くでこちらを見て嘲笑いながら、動画を撮る莉子ちゃんを見つけた。きっと、何かの間違いだ。そうだ。そう願うと同時に賢二郎の言葉が思い出される。
あの時もっと賢二郎の忠告を聞いていれば。人を疑うことを知っていれば。
もうどうしようもないことぐらい分かっていて、バケツがこちらに傾いた瞬間、反射的に目をぎゅっとつむった。
が、ばしゃん、と音がしたのにも関わらず、いつまで経っても水は一滴も掛かってこない。
「何邪魔してんだよ。そこの根暗陰キャ!」
パシンっ。乾いた音がする。
「……角名くん?」
目を開けると大量の水でびしょびしょになった角名くんがそこにいた。いつもかけている眼鏡もさっきの平手打ちで床に落ちてしまっていて、言葉を失くす。
「どいつもこいつもStellaばっか。ホント、くだらない。」
濡れてしまったマスクをとって髪をかき上げた角名くんを見た瞬間、黄色い悲鳴で廊下はいっぱいになる。少し先にいるStellaも驚いた顔をしている。一体何が起こっているのか、頭が全然追いつかない。
「倫太郎!?」
「なんで、倫太郎がここに……?」
倫太郎……?どこかで聞いたような。
振り返って、跪いた角名くんに左手を取られる。
「こんなに怪我をしてしまってお嬢様。僕がもっと早く来ていれば、無傷で済んだはずなのに……」
「きゃあああああああああ!!」
素顔の角名くんと至近距離で目が合って、息が止まりそうになる。俳優の倫太郎だ。このセリフも、今やってる月9ドラマの執事、クロードが言っていた……。
「おい、賢二郎。ぼさっとしてないでこいつ運びやがれ。」
「え、はい。」
「生徒会室にドライヤーない?濡れて気持ち悪い。」
「あるよ。こっち来て。」
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一(プロフ) - 氷翠さん» 夢主は生粋のいい子ちゃんにしてみました。 読んでくださりこうしてコメントくださることが一番嬉しいです。 更新頑張ります! (2019年12月27日 9時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 輝星さん» ありがとうございます。ときめいてもらえて嬉しいです。更新頑張ります……! (2019年12月27日 9時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
氷翠 - 夢主様良い人すぎて泣いた。大好きになりました!登録できないのが悔しい・・・更新頑張ってください!! (2019年12月25日 20時) (レス) id: 3f35ea9ba7 (このIDを非表示/違反報告)
輝星(プロフ) - とっても素敵でめちゃくちゃトキメキまくってました!すごく大好きです!語彙力なくて全然言えないのが悔しいです。更新頑張ってください!楽しみに応援してます! (2019年12月25日 2時) (レス) id: 5fda6ee181 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - 神月さん» ありがとうございます。地の文が多くて読みにくいところもあると思いますが、そういってもらえて嬉しいです…!頑張ります。 (2019年12月17日 19時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一 | 作者ホームページ:https://twitter.com/ninoma_e
作成日時:2018年5月4日 17時