降谷さんとの出会い6 ページ6
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右手で顎を持ち上げられて、強制的に目を合わせられる。
この人だって不本意なはずだ。降谷さんは警察学校を首席で卒業したとはいえ、警察という組織は縦社会でその頂点にいる私のおじいちゃんには逆らえない。
お互いが我慢して、良い関係を演じる。それが、私たちにとって最善策なのかもしれない。
「もちろん。私は約束を破るような人間じゃない。」
「……いい子だ。」
降谷さんの大きくてゴツゴツした手で頭を撫でられる。先ほどまでの自分なら思いっきり払いのけていたと思うが、今はそれほど不快じゃない。黙って撫でられていると、降谷さんの顔が歪んだ。
……大人しい私を不審に思ったらしい。ぶん殴ってやろうか。
「じゃあ、今から家に帰るぞ。明日から仕事なんだ。今日のうちに決めれることは決めてしまいたい。」
決めること。ああ、ルールとか。
たしかに必要だ。愛のない垢の他人が共存するには、規律やルールが無ければ無法地帯になってしまう。それは、お互いの不満が溜まるからナシにしたい。
二つ返事で家に帰ることを決め、ゲーム友だちに別れを告げた。帰り道はとくに話題もなく、無言であったが連絡先は交換しておかないとまずいのでそれだけした。
お互いの仕事、趣味に干渉しないこと。おじいちゃんの前では不本意でも仲のいい二人を演じること。
そんなルールをいくつか決めた。
「二週間後、Aは俺の家に引っ越すことになっているから……」
「は、今なんて。」
さすがにこれには動揺した。降谷さんが毎晩仕事終わりにこの家に来るのは大変だし、そっちの方が効率がいいのは分かるけど!
降谷さんは、仮にも成人男性。もしかすると、そういう趣味があるのかもしれな……
「あ、言っておくがお前の身体になんか微塵も興味ないからな。そこは安心しろ。」
「余計なお世話です!」
失礼な奴だ。一発ぶん殴ってやりたい。
会議から帰宅したおじいちゃんは、すっかり仲が良くなった(厳密にいえば、仲の良いフリをしている)私たちを見て、大いに喜んだ。
おじいちゃんが喜んでくれるなら、これはこれでアリなのかもしれない。
その晩、三人で遅めの夕食をとって、降谷さんは家に帰った。
「A、降谷君は堅実で良い男だろう?」
降谷さんが帰ったリビングでおじいちゃんにそう聞かれる。
良い男かどうかはさておき、堅実という言葉は彼にピッタリなのかもしれない。もちろん、気に食わないところもたくさんあるが。
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春 - 更新停止…降谷さんに残業でもさせられてるんですか?() (2023年5月4日 15時) (レス) @page31 id: 50b2221609 (このIDを非表示/違反報告)
ばなな( ?)バナナ(プロフ) - くそぅ、、次はまだないのか……更新いつまでもまってまっせ、赤井さん…|´-`)チラッ (2023年4月3日 6時) (レス) @page31 id: 0b7a4ff9a1 (このIDを非表示/違反報告)
Kaho(プロフ) - うわわわ、、これからって所で、、残念です (2022年11月27日 20時) (レス) @page31 id: 153df11488 (このIDを非表示/違反報告)
Black - 降谷さん尊い…更新してほしいです‼︎ (2022年5月27日 20時) (レス) @page31 id: 45fea12ca1 (このIDを非表示/違反報告)
らら - 更新停止...😭 (2022年4月29日 17時) (レス) @page31 id: 72f8657db1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一 | 作者ホームページ:https://twitter.com/ninoma_e
作成日時:2019年12月1日 21時