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「……ここ、噛んでいい?」
「いつもは聞かない癖に、」
「無理矢理やなくて、Aにいいよって言って欲しい。」
そんなの、ズルい。
「……いい、よ。」
その言葉とほぼ同時にガブリ、といつもの痛みが走った。ズブズブと血を吸われ、全身に力が入らなくなっていく。痛みが、だんだんと快感に感じる。
しかし、今日は妙だった。
今までとは比じゃなくらい長い。気持ち良かった感覚が恐怖へと変わっていく。
全身の血がなくなって、干からびたミイラになった私の姿が容易に想像できた。怖くなった私は侑の服の袖を掴む。すると、侑は私の首元から口を離してこちらを向いた。……あれ、侑の歯ってこんなに尖ってたっけ。そう思ったのも、束の間。
ゴクリ、と喉で音が鳴る。私の血だった。
私を見て口角を上げた侑の表情に、鳥肌が立った。好きなのに、恐怖に支配される。理由の分からない恐怖だった。
頰に涙が伝い、泣いている自分自身に驚いた。侑も泣いてる私に気付いたのか、眉を下げて私の頭を優しく撫でてくれた。
「どうしたん?俺そんなに怖い顔しとった?」
違う、笑ってた。そんなこと言えるハズもなくて。
侑の笑顔が怖い。なんて、私がどうかしてる。私は侑に対して、好きって気持ちだけでいっぱいにしたいのに、怖いなんて。
こんな感情、はやく消してしまいたかった。
「侑、私を抱いて。」
柄にもなくそんな言葉が口から溢れていた。
言った途端、顔が赤くなる。こうなったら、もうヤケクソだと呆気に取られてる侑の手を掴んで、唇にそっと口付けをする。
すると、体が宙に浮いた。侑にお姫様抱っこをされているのだとわかる。
「続きはベッドの上でな?あんま可愛いことしとったら、食ってまうで。」
侑が満足そうに私を見て笑った。得体の知れない不安は、感じられる愛で誤魔化せばいい。
本当のことなんて、誰も知りたくないのだから。
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水彩campus - めちゃくちゃ良い作品です!!!侑かっこよすぎ……(ニヤニヤ)更新頑張って下さい!!待ってます(*^^*) (2020年11月29日 3時) (レス) id: d614036431 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - チャイさん» チャイさんありがとうございます。色気ムンムンの宮侑目指して今後も頑張ります……! (2018年11月26日 22時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
チャイ(プロフ) - 色気に溢れた作品ですね……最高です (2018年11月25日 14時) (レス) id: 26170b8b11 (このIDを非表示/違反報告)
一(プロフ) - manaさん» manaさんありがとうございます!楽しんでいただけて何よりです!更新がんばりたいと思います……!! (2018年11月17日 17時) (レス) id: ca6dbfc4b7 (このIDを非表示/違反報告)
mana - とってもいい作品ですね!これからも応援してます!!!!!!!!!! (2018年11月16日 20時) (レス) id: a616d0f8f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:一 | 作者ホームページ:https://twitter.com/ninoma_e
作成日時:2018年11月10日 17時