Fate-Grand order- 短編集

風邪 ページ22

Aside







──────体が、鉛の様に重い。







重くて、まるで沈んでいるみたい。






体が、手足が莫迦みたいに動かない。





心臓は？正常通り動いている。



呼吸は？通常通り機能している。






『ごほっ、ぅ"おえ"っ』





─…訂正



呼吸器官に異常あり。






【風邪】






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「───マスターが風邪をひいた？」






「ええ、そうなんです…。私達サーヴァントには無害ですが、人であるマスターにはどうも効く様で…」





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朝、いつも通りの時間に起床。
着替えて、顔を洗う。
カルデアは、その時その時の気温に応じて足元だけほんの少し暖房や冷房をつけたりしている。


故に、顔を洗う時も冷たいとは思わない。





そして、いつも通りの時間にメンタルチェック、メディカルチェックを記録。



「ん？んんんー？おや、Aちゃんの反応が可笑しいな。マシュ、様子を見て来てくれるかい」


「はい、了解しました」

モニターで確認すると、確かにマスターの様子が可笑しかった。
いつもこの時間帯は既に起床されている筈なのに、今日はそれが見受けられない。



何かあったのかも知れない。
どうしよう。どうしよう。また悪夢を彷徨(さまよ)っているのかも。
もしかしてアヴェンジャーさんが？
否違う。
生死を彷徨っているのかも。マスターが死ぬ？死んじゃうの？
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

そんな考えが部屋に着くまでの間延々と流れてくる。


走って漸(ようや)く辿り着いた部屋の前。

もし、今開けてマスターが死にかけていたらどうしよう。
死ぬ？死ぬ？死ぬって何？やだ怖い。開けたい開けたくない。


「は、ぁッ…!ハァッ…!ま、マスター失礼します!」


『ふ、ぐっ…ゲホッ、ぅおえっ』


「マスター!大丈夫ですか!?ちょっと待ってて下さい、今ナイチンゲールさんを探して──」



苦渋の決断だった。
苦しむ先輩を放って探しに行っても良いのかと。
けれども私の思考はそう遅くは無かったらしい。
本やデータベースでの知識がある私よりも、本職の方の方が優れている。







「その必要はありません」




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