Fate-Grand order- 短編集

清姫の恋煩い3 ページ21

Aside




「ますたぁは英霊の中から一人を愛せずに平等に愛そうとする浮気者です。贔屓は出来ないから？それがますたぁなりの優しさなら皆傷付くでしょうね」



違う、違う違う。



私はちゃんと、愛してる。誰か一人を贔屓になんて出来ない。



私はちゃんと、愛してる。誰か一人に愛を囁く何て出来ない。



けれども、無意識の内にどうやらそれをやってしまっていた様で。





『……ごめんなさい』



許される事じゃないのに。
謝っても許されないのに。



「フーッフーッ……別に、謝られたくて言ったんじゃありませんよ。ますたぁはまだちゃんと分かってないから」



…うん、その通りだ。





「だから、私に嫉妬して欲しかったんですよね」




『…うん、私、清姫の事大事に【おもって】るから』



「まぁ！嬉しいです、私もますたぁの事大事に【おもって】ますよ」




うん、…知ってる


『ほんと…?嬉しい、ありがとう』




「まぁますたぁってば。じゃあ、私の左手の薬指、噛んでくれます？」



薬指…指輪。



『夫婦(めおと)になろうとしてる…？』


「まぁ♡よくお分かりで。そうですよ、子供を作るんですから。なら、ますたぁと私は結ばれないといけません」




『待っ、夫婦にはならな』
「なるんです」
『ぃや、ちが…!』
「いいえ、何も違いません」
『だって、そんな、いちども』



段々と体温が下がり、冷たくなっていくのが分かる。
呼吸も短く、宛ら獣の如く。



「なるんです、絶対に。それとも…ますたぁはまた私を…傷付けるんですか」




…でも、清姫は私を逃がす気は無いらしい。囲って囲まれて、逃げ道がひとつも見当たらない。
無意識のうちに私がやってしまった事を逆手にとって、囲まれた。




『だって─！』



「…はぁ、まだ言い訳ですか」



『違う…違うの……お願いだから、聞いて清姫』



「…まぁ、旦那様であるますたぁの話です、聞きましょう。その後どうするかは此方で決めますが」



一かバチかの人生を賭けた逃げ道。
それを今から作っていくのです。
勇気ある行動に賞賛される事待ったナシだろう。



『あの、あのね…私を好きなら、愛してるなら、…安珍様と私を──重ねないで』






「……何を言ってるんです」




『何って、そのままの意味ですよ…好きにしていいから、どうかお願い重ねて愛さないで』





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