Fate-Grand order- 短編集

海 ページ15

時々思う。


辛い事も悲しい事も、全て体と共に深く青い海の底に沈められたら。


嫌な事も逃げ出したい事も、全て心と共に暗く怖い海に沈んでくれるなら。




だから私は海が好き。



全てを包み込んでくれる様な気がして。



【海】




『───海?』



食堂にてエミヤが作ってくれた朝食を食べていると私の向かい側の席に座って、一緒に朝食をとっていたマシュが突然思い出した様に話題を持ちかけてきた。


「はい!どうやら今は夏の様だと、ダ・ヴィンチちゃんが言っていたので。レイシフト以外での外出は少ないですし、外は吹雪ですから外の様子が分からないんですよ」



『確かにね…』




海、海かぁ。


もう何年行ってないかな、2年？3年？はたまたそれ以上?


海は好き、冷たくて熱い体を冷ましてくれるから。



『海、行きたいなぁ……』



…考えてものを言う時に舐り箸しちゃう癖どうにかしないとな。


「なら行きましょう!」



『えっ』



「俺を呼んだな！」


『いや呼んでない。と言うか海だよね？行けるの？』


「ダ・ヴィンチちゃんには既にレイシフトの許可は取ってあります！さぁ先輩！朝食後水着、買いに行きましょう！」



「ならば俺がエスコートしよう！」



だから巌窟王来たのか…暇だなぁ。



『エドモンと行ったらエドモン好みになるから却下。そうねぇー…いいね、マシュ後でダ・ヴィンチちゃんに頼んでみようか』


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「───勿論良いとも！Aちゃんに似合った最高のものを！この天才ダ・ヴィンチちゃんが作ってしんぜよう！」



食後、工房に行って内容を話すとそれはそれはたいそう楽しそうに引き受けてくれた。



「先輩に似合う水着……」


でも、どうも隣にいる後輩ちゃんは気に食わない様で。


『どうしたのマシュ』



「いえ…何でもありません」


だと良いんだけれども。



『…えっ、性能がつくの?』



「うん、勿論。外の海には行けないけれどレイシフトなら可能。だが、レイシフト先では敵や味方やらがわんさかといる。

いつ戦っても良い様にマスターである君に性能をつけないと、なに英霊達の為だと思えば大丈夫さ」


なるべく負担を軽減させる様な性能ならいいよと告げた途端に真面目な顔からニマニマとした嫌な予感がする笑へと変わった。


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