5話 H×Hは金銭感覚バグる ページ7
私たちが場違いさに身を縮めていたのも知らないで依頼はとても単純だった。
「このヨークシンシティで10日間、オークションがある。君たちには開会セレモニーで歌って欲しい、それが依頼主からの依頼だ。」
「ひとつ質問が」
「何だ」
「誰が歌うんですか？」
「...」
私たちは二人で歌うことを好んでいるし、私はギター弾けないけどカナデが歌うためなら練習だってする。(ちゃんとした会場ならピアノだろうけど)
そもそも一体どこで私たちを知ったんだろう、きっとどこかで歌ったのを聞いているはずなんだけど。
「歌うのは、君だA君」
「なら私いy」
「わかりました。依頼お受けします。」
「は？相棒？？？」
相棒から突然の裏切り。
断ろうとする私を遮って即座に依頼を受け入れた、相棒...一体どうしたんだってばよぉ。
「(相棒なんで)」
「(私、歌いたくないし。)」
こういう時にコミュ障出るのやめようぜ？いつもはニコニコしてるのにアーティストとして人前出る時コミュ障になるのやめようぜ！
「では、当日迎えを寄越す。」
そう最後に言い残して私たちは半ば無理矢理返された、車で待ってたおじさんが電話番号教えてくれたので今度奢ってもらおうと心に決めて。
後日、諸事情で銀行行ったら預金残高が一桁増えていた。おじさんに電話かけたら「依頼の前金だ」と。
前金の額高すぎてビビるんだが？てかもう絶対この仕事おりれないじゃん！受け取っちゃってるもん前金！！
口座教えたっけ？
「〜〜〜♪」
「♪♪♪、♪♪」
オークションまで時間があるので練習がてら路上ライブ中、いつもは申請から時間がかかる許可も何故かすぐ通ったのでラッキー。
7時に準備して半から始めて今15時頃、時々見てくれる人が札を缶に入れてきてくれるのでモチベーション爆上がりっすわぁ。
「歌うの交代！今度私が弾くね。」
「了解、てうかもう15時(さんじ)だしファミレス行こ？」
「んー、まだ歌いたい気分」
「パッと」
「さいでりあ〜♪、て建築屋じゃん」
「サイゼリヤと関係ないけどね。」
相方がここまでするとなったら本当にやめてやらねば、基本大人しくて穏やかでも私と同様食べ物と仕事には一切の妥協がない。
自覚すると食べたくなるしね！私もイタリアン料理食べたくなった。
「やめるの？」
「え」
片付けようと黒髪のお姉さんがいた。何かのデジャブを感じたけど、気のせいだと信じたい。
「えっと、ご飯食べたら戻って来ます」
「じゃあ待ってるね」
「えぇ」
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作者名：来世は愛犬(柴犬が良いな) | 作成日時：2020年9月14日 0時
