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4話 猫好きはお好きですか? ページ6

「おじさんマフィアなんだ」
「マフィアってもっと怖いと思ってた」
「さっきの事は忘れろ」
「「無理です」」
「くっ」

 あの場は「バイト残ってるんで」と延命処置をし、とりあえず相方に仕事の依頼で来たという黒スーツのおじさんの事を教えた。
相方もだいぶ怪しんでいたが、まず殺されることは無いと思ったし逃げる方がややこしくなりそうなのでバイト後大人しく賄いのお米3杯おかわり食べておじさんの元に向かった。

問題はここからだった。

黒スーツのおじさんが乗る黒塗りの車(めっちゃ良いヤツ)の上にすやすやと我関せずの顔で微笑ましく寝るキジ猫がいたのだった!
ワシら焦る、古今東西黒スーツのおじさんが車の上で寝ている猫を優しくどかすことなんてありえn

「こら、危ないだろ。」

超優しい声で言ったァァァァ!
見た目イカつい50代のおじちゃんなのにあんれぇ?これヤンキー現象じゃないよね?勘違いじゃないよね?
困惑気味の私たちを他所に、まるでガラスに触れるような手つきで丁寧に猫を下ろす。
不満げな猫様かわゆす。

「おじさん猫好きなんですね」
「まあな...あ""」
「猫好きに悪い人いないもんね」
「うんうん」
「忘れろ」
「あんな優しく声かける人そういないよね」
「可愛かったね」
「忘れろッ」

おじさんの悲痛な叫びには気にもとめず、私たちは愉悦に浸った。可愛いは正義、お猫様大勝利の瞬間だった。そして冒頭に戻る。

 おじさんは羞恥心を押し殺しながら件の車で私たちを運ぶ、もうおじさんの事怖くないからくだけた態度で会話する。

「おじさんって」
「ついたぞ」
「あ、はーい」

ついたところは謎の高級ホテル、お、おい...もう帰ろうぜ...何怖気付いてんだよたけし(わたし)。だってドレスコードとかありそうだし、所持金そんなにないんだよ...。

「ここって」
「依頼人本人はいないが、依頼人に近しい人間がいる。俺は送迎を任されただけだから中には入らん。終わったらまっすぐ帰ってこいよ。」
「「えー」」

全く車から降りる気配のないおじさんを尻目に諦めて相方の手を引いた。一体どんな人が私達を待っているのか

 生きる世界が違うとテレビでよく感じるだろう、例えばスポットライトを一身に受ける大女優を見た時とか、かっこいい車から降りて屈託ない笑顔で手を振る俳優さんとか見た時。

それを私たちは現実で感じているのだ。

「どうせなら新しい服で来たかった」
「それ、完全に場違いで無理」

もっと考えて呼んでくれ__

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作者名:来世は愛犬(柴犬が良いな) | 作成日時:2020年9月14日 0時

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