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菊「Aちゃんが対人関係で悩んでた……」
『言うたやんさっき』
菊「テキトーに相槌打ってんのかと思ってました」
『そんな信用ない？私』
菊「だって酔ってんだもん」
菊池に指摘されるということは余程やばい顔をしているんだろう。
水を頼んでから、私はゆっくりと思いを巡らせた。
『まあ詳細は省くけどさ。ちょうど最近、私も昔からの知り合いとの距離感悩んだりしてた訳よ』
菊「Aちゃん悩ませるなんてよっぽどじゃないすか。会ってみてー」
……いや、普通に先月紅白だのカウントダウンだので散々会ってると思うけどな。
心の奥底で浮かんだツッコミを飲み込んで、曖昧に笑う。
『でも結局分かったことはさあ……何があっても、なんだかんだ自分の人生に必要な人やったら、ええ感じに落ち着くんやで』
私が関係性に悩んでいた相手。
それは勿論、信ちゃんだ。
あのデートもどき以降、気恥ずかしくて、子どもみたいに変に避けてしまったりもした。
でも、1ヶ月経った今となっては、普通に2人でご飯にも行くし、寒いからと手も繋ぐ。
そんな微妙な関係になったとはいえ、私は幸せだった。
信ちゃんが甘えさせてくれる、それだけで満足だった。
信ちゃんの気持ちを無下にしている罪悪感はあれど、彼も「好きだ」と言うだけで満足していそうだったから。
これが一番なんだ。
やっぱり私たちは付き合うべきじゃなくて、たまーに信ちゃんが告白してきて、それを私が冗談で躱して。
それだけの……いや、それくらいの関係が一番なんだ。
10回分あった告白のカウントダウンの残機が1まで来ている中で、私はようやく気がついた。
あの時、ほんの間違いが重なって手を繋いでいなければ、10回も告白してくれた罪悪感に耐えかねて、私は次の10回目で告白を受けようとしたかもしれない。
でも、あの日のデートもどきがあったから。
私は、所謂「友達以上恋人未満」の関係を見つけ出せて、そしてそこに落ち着けた。
神様の采配だと思う。
信ちゃんが私の人生に不可欠な人だから、神様がそこに私たちを落ち着かせてくれたんだ。
今なら10回目の告白も笑って流せる気がする。
そして、11回目以降も楽しみにしてるねと、そう伝えられる気がする。
菊「アドバイスになってないじゃないですか」
『え、そう？』
菊「結局俺はドラマ受けるべきなんですか？」
真っ直ぐな視線に射抜かる中、私はじっと中島を見つめた。
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作者名：藻くずちゃん | 作成日時：2022年9月28日 16時
