【5年前をもう一度】てつやガチンコイケメン化!!! ページ3
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て「と、いうことで東京にやって参りました」
『何も聞いてないんだけど、なんでカメラ回してるの?』
てつやに後ろから羽交い締めにされて、私たちは歩道でカメラを前にする。
上を向くと、ちょうどてつやも下を向いて、超至近距離で目が合った。
て「……何故かかむが東京に居たので、連行します」
『なに?どこ行くの?』
て「まず初めはこちら!」
『めちゃくちゃ無視するじゃん』
グルリと振り向かされると、小洒落た大きなマンションが建っている。
『どこ?ここ』
て「プラチナホワイトニング新宿御苑」
『ぷらちなほわいとにんぐ…?』
て「とりあえず、行ってきまーす」
訳の分からないままズルズルと引きずられ、あれよあれよという間に、何故か私はてつやの隣で歯磨きをしていた。
『なんで私もやることになってるの?』
て「比較対象的な」
「比較するなら、私はホワイトニングしちゃダメでしょ」
て「そうとも言う」
『意味分からんじゃん』
何も分からないまま感じのいい男の人に口をガバ開きさせられて、機械を当てられるこっちの身にもなって欲しい。
私の不満を察知したのか、てつやは「怒んないの〜」と笑った。
そうやって口喧嘩しているうちに、いつの間にかホワイトニングは終わって。
て「よし、じゃあ次!服探しに行きます」
お次は東京のど真ん中で、このセリフだ。
どうやら小綺麗になろうとしているらしいことを察して、私は亀ちゃんからカメラを預かる。
『私が撮影しとくし、亀ちゃん仕事戻りなよ』
「いや、これも仕事ですから」
『でも暇でしょ?私がカメラ持てばいい話だもん』
押し問答していると、また後ろから抱き上げられた。
て「はーい。服探し行きまーす」
『ねぇ、なんなの今日。私のこと、カバンか何かだと思ってる?』
ツッコミに反応すらせず、てつやは堂々と私を小脇に抱えてセレクトショップに足を踏み入れた。
『清潔になろうとしてるの?』
て「まあ、そんな感じ」
『ふぅん』
それでこんなモードな感じの店に入ったのか。
宙に浮きながら店内を見ている中で、ふととあるマネキンが目に入った。
『ああいう服、』
て「え?」
『てつやは、ああいう丈の短めの服に長めのパンツが似合うよ』
それを聞いて、彼は足を止める。
『だから店員さんに聞いて、ああいう感じのを…』
て「すみません、あれ一式で」
『っておいぃ!』
とぼけた顔で、てつやは「なにぃ」とまた笑った。
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作者名:蚕虫 | 作成日時:2022年6月17日 1時