アイの呪い【乙骨憂太】 (ページ18)

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第十七話ページ18

　
「これが私のやり方だよ。二級以下なら、これでなんとかなる」

「さっきの蜘蛛の巣が術式？」

彼女曰く、糸の一本一本に呪力が混ぜられてて、もがけばもがくほど身動きが取れない仕組みになっているそうだ。

すらすらと流れるように解説するAさんは、どこか誇らしげで、それでいて悲しそうだった。

「それと最後に……被害者の遺体だけ、回収して帰ろう」

彼女は静かにフロアを見回した。

三階にはもう何も残っていないようだが、四階と五階には何かあるかもしれない、と僕たちは非常階段を上がった。

「……無いね」

血の染み一つないあたり、あの大きな口に丸呑みされたのだろう。
部屋の中央で、二人で静かに両手を合わせる。

数分経ったかと思われた時、彼女が顔を上げた。

「出ようか」

「うん」

非常階段を降り、ビルの前まで来た時、彼女がふと足を止める。

「憂太君。寄る場所があるから、先に帰っててくれるかな」

「寄る場所？」

「近くに……近くに実家があるんだ」

久々に挨拶に行こうと思って、と彼女は困り顔で頬を掻くと、それから閃いたように手を打った。
良いことを思いついたと言わんばかりに、宝石のようなその瞳を輝かせる。

「憂太君も、来る？」
　
　