悪魔の魅入り子、悪魔の見初め子<第三体育館組>

第１話 ページ3

朝日が昇る
また、今日が始まる
しかし、今日はいつもとは違う＜今日＞が始まった

「Ladies and gentlemen,みなさん、お集まりいただき誠にありがとうございます！！
　今日も目玉商品が目白押しでごさいます。奮ってご参加ください。
　さあ、まず初めに前菜は＜竜の鱗の鎧＞です。１０００万から参りましょう。」

町の大きな広場で、人一倍存在を主張するきらびやかなテント
今まさにオークションが行われている
名家の秘宝や裏ルートで出回っている品物、古代の宝









そして、人として扱われないヒト


彼らの嘆きは誰にも届かない
少しでも扱いの良い主人に買われることを祈ることしかできない


ある人がオークション会場の前で唐突に足を止めた
きらびやかなテントに似つかわない薄汚れたローブを纏う人物
顔を上げたその人の表情は読めない
何を思ったのか、入口へ足を進めた



貴「ここで、皆さんお待ちかねの四人組の商品です！！」
　 ワァー
一気に会場が沸き、人々は今にも立ち上がらんばかりだ
しかし、規則により不用意に出歩いてはいけないのがもどかしい

ステージに登場したのは少年のような、青年のような４人組だった
目は虚ろで、何を見つめているかわからない
彼らの顔には何の感情も浮かんでいなかった

「つい先日出品されたばかりですが、状態が良く、観賞用でも実際に使用いただいても大丈夫です。
　次はいつ出品されるかわからない掘り出し物ですよ！？
　５億から始めましょう。みなさん、競ってご参加ください！！」

司会者の掛け声とともに次々と声が上がる
１０億、１５億とみるみるうちに額は上がっていく

ボソッ

貴「なにが状態が良い、だ。傷だらけなのに、良いもくそもないだろ。」

そう小さくつぶやくと、おもむろに立ち上がり、

貴「１００億」

高らかに告げた

それを合図にピタリと声はやみ、辺りを静寂が支配した

「他にいませんか、いませんね……。
　それでは、驚愕の金額 １００億で落札されました！！」

ひそひそと話し始める参加者に目もくれず、
見事落札した人物は係員に案内されるまま、会場から姿を消した

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