夢【大切なものは】 ≪2≫ ページ12
カルマside
「――マ、――ルマ」
どこかで声がする。でも、それは俺にとってもう手に入らないもののはずで。
「――さだよ。―きて。――もう、カルマっ！！」
カ「っ！！」
瞼を開けると、目の前にはさっき道を違えてしまったはずの大切な幼馴染の姿が。
貴「もー、やっと起き…。わっ！？」
普段の寝起きの俺からは到底考えれない程素早く、俺は部屋から出た。
家の中を隅から隅まで見て回って、ようやく此処が夢ではなく、現実である事を理解した。
そして、輪廻のいる自室に戻り、顔を手で覆って壁に背を預けて座り込んだ。手を顔から外し、少し目線を上げると、そこには心配したように俺を見る輪廻が居た。
カ「…夢でよかった」
そんな俺の呟きが聞こえたのだろう。
貴「なあに？怖い夢でも見たの？」
輪廻が俺の方へ手を差し伸べながら、問いかけてきた。その言葉に頷き、輪廻を借りて立ち上がる。
カ「輪廻が、俺から離れちゃう夢を見たんだ。…離れていかないでね」
輪廻は目を瞬かせ、大丈夫だよ、と俺を抱きしめた。俺の背中を軽くさすってから輪廻は離れた。
貴「もうご飯出来てるから、顔と手洗ってきてね」
輪廻の微笑みを見て、ようやく安堵した俺は洗面台へと向かおうとした。
貴「――――――――」
後ろで輪廻の声がして、立ち止まる。振り返って、なんか言った？、と聞くと、なんにもいってないよ、と返された。
まだ寝ぼけてるのかな？そう思いながら俺は部屋を後にした。
貴『キミはもうボクを必要としていないくせに』
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作者名：咲夜 | 作成日時：2019年10月25日 0時
