一階 ページ40
何故元気なのに痛い思いをしなきゃいけないんだ。
部屋を出て、廊下を歩く。
もういっそのこと、病院から逃げ出してしまおうか。
窓から外を眺める。
中庭が見える。
そう言えば、病院の外はどうなっているのだろう。
病室の窓からは隣の棟と中庭しか見えない。
屋上の壁も妙に高くて、外が見えなかった。
私はエレベーターまで歩き出した。
外に出てしまおう。
ボタンを押してエレベーターを待つ。
エレベーターには誰も乗っていなかった。
１階のボタンを押して、点滅するボタンの光を眺める。
扉が開いた先の廊下にも、誰もいなかった。
受付にさえも人がいない。
……なんだか、不気味だ。
外に向かうために、扉に手を掛けた。
扉を開けると、ふわっと外からの風が髪の間をすり抜ける。
……知らない匂いだ。
「一条」
手首を掴まれ、振り向いた。
相楽先生だ。
いつものふにゃっとした笑顔は跡形もなく消え、厳しい表情で私を見ている。
「どこへ行くんだ？」
ギリ、と手首に力が込められる。
「……外、に」
「どうして？」
「……検査が、やだから」
正直に答えると、何故か先生はどことなく柔らかい表情に戻った。さっきよりは。
「そうか。三時から検査だったね」
手を引かれ、元来た道を歩く。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 110人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ステラ - 信じられないほどドキドキします(?)主さんの作品がめっっっちゃくちゃ好きです！！！最高です！！楽しみが増えました！ (2022年6月4日 9時) (
レス) @page50 id: 1d9e4d2339 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央 - 続きが楽しみです！ (2018年10月18日 23時) (レス) id: 7188a9c310 (このIDを非表示/違反報告)
ふーか(プロフ) - 前の作品から大好きです！！続き楽しみです！ (2018年7月1日 17時) (レス) id: 7a5dbc0816 (このIDを非表示/違反報告)
タケノン(プロフ) - 猫ザクラさん» 飛び上がりましたか笑 ありがとうございます。これからもぜひ読んでくださると嬉しいです( ￣▽￣) (2018年6月26日 22時) (レス) id: bf709e921d (このIDを非表示/違反報告)
タケノン(プロフ) - ハジメマシテさん» 様付けされるような者じゃないんで！！笑 書くのは楽しいので時間のある時にコツコツこそこそと……。 (2018年6月26日 22時) (レス) id: bf709e921d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
