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指先 ページ13

「……ご馳走さまでした」
「ちゃんと全部たべたんだね」

……先生の、笑顔が、眩しい。

「よし、じゃあ注射も頑張ろう」
「……」

俯いて黙っていると、肩に手が置かれた。

「……やっぱり、怖いよね」
「……やらなきゃ、だめですか」
「うん。病気になるのは嫌だろう?」

……仕方なく腕を伸ばすと、先生はちょっと驚いた後に嬉しそうな顔をした。

「いい子だね。それじゃ、頑張ろうか」

袖か捲られて、肩を消毒される。
……肩?
こころなしか、トレイの注射器の針が、いつもよりも太い気がする。

「……先生」
「ん?」
「……いつもより、いたいですか」
「……あはは。ばれちゃったか」

……腕を掴む力は、強い。

諦めて深呼吸をした。
……少しだけ、慣れたのかもしれない。

「えらいえらい」

肩に、痛みが走った。
その痛みは、どんどん重くなる。

「……っせんせ」
「もう少しだけ我慢してね」

やっと、針が抜かれた……ようだが、痛みはあまりよくならない。

「……痛い、です」

肩に手が添えられて、注射した所を揉み解される。

「……っ、やめて、くださ、ひっ」
「これやらないと後から痛くなっちゃうから、ちょっと頑張ってね」

暫くしてやっと先生の手から解放された。

「お疲れさま。痛いのによく頑張ったね」
「……ありがとう、ございます」
「……泣かなかった、ね」

不意に手を取られて、指先にキスが落とされる。
最初は状況を理解出来なかった。

「……ふふ、赤くなった」
「え」
「熱が出てるみたいに真っ赤だよ」

おでこに手があてられる。

「ちょっと深見先生が羨ましいなあ」
「……それはどうも」

若干警戒して後ろに下がると、先生は手を離してくれた。
……ただの優しい人ってわけでもないらしい。

「別に取って食ったりはしないよ」

当たり前だ!!

「今はね」

付け足された言葉にちょっとびびりながら、私は部屋を出ていく先生を見送った。

子供→←優しい



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ステラ - 信じられないほどドキドキします(?)主さんの作品がめっっっちゃくちゃ好きです!!!最高です!!楽しみが増えました! (2022年6月4日 9時) (レス) @page50 id: 1d9e4d2339 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央 - 続きが楽しみです! (2018年10月18日 23時) (レス) id: 7188a9c310 (このIDを非表示/違反報告)
ふーか(プロフ) - 前の作品から大好きです!!続き楽しみです! (2018年7月1日 17時) (レス) id: 7a5dbc0816 (このIDを非表示/違反報告)
タケノン(プロフ) - 猫ザクラさん» 飛び上がりましたか笑 ありがとうございます。これからもぜひ読んでくださると嬉しいです(  ̄▽ ̄) (2018年6月26日 22時) (レス) id: bf709e921d (このIDを非表示/違反報告)
タケノン(プロフ) - ハジメマシテさん» 様付けされるような者じゃないんで!!笑 書くのは楽しいので時間のある時にコツコツこそこそと……。 (2018年6月26日 22時) (レス) id: bf709e921d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:タケノン | 作者ホームページ:http  
作成日時:2016年3月27日 16時

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