【名前変換オリジナル】記憶保有期間、一年。

縁 ページ21

すっかり発疹も引いて、元気になってから数日が経過した。

私は今未散の部屋に来ている。

「……聞いていいのかは分からないけど、未散は、何の病気なの？」
「あたし？Aと一緒。一年で全部忘れちゃうの」

聞けば彼女はあと4ヵ月ほどで記憶が無くなるのだとか。

「なんでだろう。ポンコツ脳なのかな」
「わからない。もう治らないのかな」

二人であれこれと話し合う。

「……あたし、日記をつけることにしたの」
「日記？」
「うん。次のあたしが少しでもなにか思い出せたら、嬉しいでしょ」

……確かに。

「私もつけよう。……過去の私は書いてないのかな」
「あーそれあたしも思った……けどないの。だからこれがあたしにとっては初めての発想なんだね」

……自分にとって初めての発想。……過去の自分なんてわからないけど、成長してることが地味にわかって嬉しい。
脳のどこかに、記憶は眠っていないのかな。

「日記はこの机の引き出しにしまうから、あたしが忘れちゃってからはちゃんと教えてよ？」
「はいはい」
「あと、ちゃんと声もかけてね！？じゃなきゃ友達の縁が切れちゃうんだから」

……そうか。どちらかが声をかけなければ、いずれ2人とも忘れてしまう。
未散との関係は、いつから続いているのだろう。
過去の私たちがこんな会話を交わして、今の関係があるのだと思うと、なんだか不思議だ。

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