騎士と外交官 ページ8
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部下が運転する軍用車の中。
一日にたくさんのことが起きて疲れたのだろうか
ぐっすりと寝てしまった敵国の元使用人の女性を一瞥し
オスマンは咎めるような視線をAに向けた
「それでA、
『............そうだなぁ、家に帰す、とか』
至極真剣な表情でそう言ったAに
オスマンは呆れ交じりのため息を吐く
「あんなぁ.........もし彼女が
こっちの情報を相手に渡したら、とか考えへんの？」
『考えないよ。彼女は誠実で、口が堅くて、約束を守れる人だ
ちゃんと“みた”し、本人と約束もした』
ああ、なんて便利な能力なのだろう
オスマンはそう思うと同時に、言い表しようのない呆れを感じた
Aは一度言い出したことは梃子でも動かない
口の上手いオスマンやエーミールが説得をしたって
頑として動かないのだ
こうなったらもう、こちらが諦める他ない
ボスンと背凭れに寄り掛かったオスマンは小さく肩を竦めた
「はぁ.........しゃあないなぁ」
『ありがとう』
「でも、彼女の働く先とかどうするん？」
『え？あー、......それは多分、大丈夫だよ』
「はあ？」
Aは先ほどの真剣な表情とは打って変わり、嬉しそうに笑んだ
だって彼女、お店開きたいらしいし。
そう心の中で告げ、未だに訝しげな表情をしてこちらを見るオスマンに
Aはいたずらっぽい笑みを浮かべる
『ふふ、なんとなくだよ』
「......ふぅん」
問い質しても答えないことを察したのだろう
オスマンは質問をやめ、切り換えたように
熱の篭った目で相手国のスイーツについて語り出した
曰く、某国には頬が蕩けそうなほど甘いシュークリームがある、とか
濃厚な生クリームがたっぷり使用されたショートケーキは絶品だとか
精巧に作られた飴細工が綺麗すぎて食べられないらしい、とか。
それはそれは熱く語るオスマンに相槌を打ちながら
Aはそっと右手を握った
体が芯から冷えていくような、不思議な感覚。
もう慣れてしまった、この感覚。
ふと、俯いたAの顔をオスマンがひょいと覗き込んだ
「A？大丈夫？顔色悪いで」
『っああ...大丈夫だよ。少し車に酔ったみたい』
「そう？無理したらあかんで？」
心配げに見つめる深緑の瞳に、Aは誤魔化すように笑む
それからまた暫くすれば
車内は楽しげな会話に包まれていた
騎士と外交官、終
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ヤオリム(プロフ) - 更新頑張ってください！応援してます！ (2020年1月4日 14時) (
レス) id: 5300aa66a5 (このIDを非表示/違反報告)
黒葉くん@wrwrd!煽り組、ら民 - 忠誠、誓 って字でめっちゃ兄さん出てきて泣くかと…… (2019年3月26日 2時) (レス) id: 089aae62ec (このIDを非表示/違反報告)
夜行性(プロフ) - 初っ端からかっこよすぎて物語に入る前にお気に入りに追加させていただきました！！更新頑張ってください。 (2019年2月26日 0時) (レス) id: 592213ae86 (このIDを非表示/違反報告)
ギル(プロフ) - え、好きです。設定が自分好みすぎて語彙力ふっ飛んでいきました。更新まってます。 (2019年2月25日 23時) (レス) id: ac1cad5a35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍色鳩羽 | 作成日時：2018年12月16日 22時
