軍医は騎士の身を案じ、 ページ11
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「......Aは午後からの出撃だっけ？」
「........ああ。それがどうかしたのか？」
「ちょっと、ね」
総統室。
今し方退席したトントンの目を盗み、茶菓子を嗜んでいたグルッペンは
珍しい人物の訪問に目を瞬かせていた
......いや、珍しくはないかもしれない
なんせ彼......しんぺい神はAの特殊能力について詳しい数少ない人物だ
彼について知っている自分の下に訪れ
Aについて相談することは頻繁ではないが稀でもない
そして第一声がAの出撃に関してだ
彼の主であるグルッペンに、何か進言しに来たのだろう
「まあ取りあえず、そこのソファにでも座ったらどうだ？長いんだろう？」
「それじゃあお言葉に甘えてっと」
来客用のソファに腰掛けたしんぺい神は真剣な面持ちでグルッペンを見た
「それで、Aについてだけど.....思ったよりも進行が早い
一応薬で遅くしてるけど、持って5年だ」
「ふむ......Aは何と？」
「ああ、『大丈夫』の一点張りさ」
「そうか.........」
ふぅ、とグルッペンが息を吐く
Aの事情を知っているのは実のところグルッペンとしんぺい神の2人のみだ
というのも本人が公言することを極端に嫌がるのだ
それも「無駄な心配をさせたくないから」なんて寂しい理由で。
「ねえグルッペン、君の『主人命令』とかで
Aが能力使うの制限したりとかできないの？」
「.....俺はあまり、彼奴の行動を制限したくない」
「グルッペン」
「俺だって本当は過度な能力行使も無駄な戦いも避けて欲しいゾ
だが彼奴は、全て国民の為だと、ひいては俺の為だと思って戦っているんだ
『氷の騎士』の名に恥じぬ振る舞いをしようと無理をしている」
彼の主以前に、1人の友人であり幼馴染でもあるグルッペンは
その蒼い瞳に苦悶の表情を映しつつ腕を組んで俯いた
彼らが主従関係になった背景は聞かされていないものの
何か仄暗いものをなんとなく察していたしんぺい神は
それ以上掘り下げずに「そっか」と短く返した
「すまん。身内に甘いことは自覚しているんだが
Aにはどうも甘すぎる節があるな」
眉を下げて笑うグルッペンに、しんぺい神も苦笑いを浮かべた
彼ら二人は何処か危ういところがある
己を顧みず、必ず誰かの為にと重荷を背負いたがるのだ
背負いすぎて潰れないか心配だ
数時間後に戦場に赴く騎士の身を案じ、軍医はゆるゆると瞼を伏せた
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ヤオリム(プロフ) - 更新頑張ってください！応援してます！ (2020年1月4日 14時) (
レス) id: 5300aa66a5 (このIDを非表示/違反報告)
黒葉くん@wrwrd!煽り組、ら民 - 忠誠、誓 って字でめっちゃ兄さん出てきて泣くかと…… (2019年3月26日 2時) (レス) id: 089aae62ec (このIDを非表示/違反報告)
夜行性(プロフ) - 初っ端からかっこよすぎて物語に入る前にお気に入りに追加させていただきました！！更新頑張ってください。 (2019年2月26日 0時) (レス) id: 592213ae86 (このIDを非表示/違反報告)
ギル(プロフ) - え、好きです。設定が自分好みすぎて語彙力ふっ飛んでいきました。更新まってます。 (2019年2月25日 23時) (レス) id: ac1cad5a35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍色鳩羽 | 作成日時：2018年12月16日 22時
