Episode101.失いたくない-side.T ページ10
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『とある日に、......住んでいた村で、瞳のことで色々あって........兄さんを村はずれに
置いていってしまいました。縋るように俺の名前を何度も呼ぶ兄さんを......っ、自分のエゴで
置いて、いってしまったんです。それからは村の教会の地下で監 禁生活を数年程送って......
とある人に、助けられました。.........っすごく、すごく優しくて、お人好しな人で、強くて
......格闘技も、その人から教わりました。俺は、その人とずっと暮らすのだと、いつか命を
救ってくれた恩返しをするのだと、そう...思っていたのに...っ......』
結局、最期まで恩を返すことが出来ずに、死んでしまった
自分のせいで、自分が未熟だったせいで、死んでしまった
死ぬ寸前まで、迷惑ばかり掛けてしまった。自分は何も出来なかった
本当の名前すら聞けなかった
「ありがとう」さえも、言えなかった
Aは、今にも泣き出しそうな顔で、悲痛な声で、そう語った
胸を締め付けられるような感覚を覚えるも、どうしたらいいのか分からず
ただただAの話に耳を傾ける
これで、ようやくAが“守りたいもの”に執着するのかが分かった
こいつは、Aは、
......そうか、お前は＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
『もう、...っ置いていくのも、置いていかれるのも、嫌なんです......！』
＿＿＿＿＿＿失うことが、怖いのか
無意識に、顔が歪んだ
失いたくないが故に、嘘をつき、隠し、笑い、誤魔化した
胸が張り裂けそうな思いに眉を寄せ、泣くまいと歯を食いしばるAに何かできないかと思案する
......どうして俺の頭は、こういうときにはこんなにもポンコツになるのか
あまりの歯痒さにぎゅう、と手のひらを握り締め、唇を噛んだ
そのときだった
.
「しかしお前は、今回は失わなかったのだろう？」
コツリ。
地に響くようなバリトンボイスが、医務室に響く
『総統、陛下............』
我々軍総統、グルッペン・フューラー
突然の登場に、俺もAも目を見開いた
は？お前、なんでここにおんねん。会議は？まさか抜け出したとか言わへんよな？
その言葉を必死に飲み込んだ俺を、どうか褒めてほしい
俺達の様子を見てニヤリと邪悪に笑ったグルッペンは
優雅な足取りで俺達のところに向かって歩き出した
その碧い瞳に、確かな喜びを称えて。
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Rettosei_0822(プロフ) - とても面白かったです！これからも執筆頑張って下さい。最後のshpから譲り受けたゴーグルはどうなったんですか？ (5月31日 3時) (
レス) @page48 id: c34cfad174 (このIDを非表示/違反報告)
雫 - もう最高でした! それから涙腺崩壊何回したことか…。・°°・(＞_＜)・°°・。作者様このような作品有難う御座います。ふふっ楽しく悲しく読ませていただきました。 (2020年6月14日 12時) (レス) id: 823e106573 (このIDを非表示/違反報告)
モノトーン - 性癖にドストライクでした。こんな神作をありがとうございました。次の作品もめっさ楽しみに待ってます。 (2020年4月3日 22時) (レス) id: c6c1282ede (このIDを非表示/違反報告)
HARUKA(プロフ) - 感動して泣きました。この様な素晴らしい作品に出会えてとても幸せです。素晴らしい作品を作って頂き、本当にありがとうございました。これからも頑張って下さい。 (2019年8月4日 16時) (レス) id: c358560c76 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - 完結おめでとうございます。楽しく読まさせていただきました。凄く好きです…ありがとうございました…！ (2019年2月23日 22時) (レス) id: 4dc1d00e9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍色鳩羽 | 作成日時：2018年12月1日 0時
