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sideA
「坂田さん、それ、暑くないの?」
『あー、うん、正直暑いんだけどね……』
授業と授業の間の10分休み、
ちらっと目があった右隣の男子が、私が羽織っている部ジャージを指差した。
「はは、暑いんだ、脱げばいいのに。」
『いやー、そういうわけにもいかんのですよー。』
「服でも汚しちゃったの?」
『いや、そうでもなくて___』
「お前、脱いだら唐揚げさん3つ奢り、忘れてねェだろうなァ。」
『わ、ちょ、近い!』
沖田が突然、立ったまま私の肩に手を回してくる。
そもそも、今朝、ジャージを渡してきて、
「それ着てろィ。脱いだら唐揚げさん3つ奢り、もしくは殺す。」
と。それだけでおかしいのに、暑いからジャージの襟を折ろうとしたら、
「襟折ったら半殺しな。」
て。
『いや、意味わかんないからね、マジで。
もう夏はそこまで来てんのよ、もうジャージの季節は終わったのよ!』
「うるせェ。アンタは黙って俺に感謝してればいいんでィ。」
『いや逆でしょうよ!
こんな暑いのに律儀に着続けてる私に感謝してほしいわ!』
「あーあ、俺がせっかく優しくしてやってんのになァ。」
『今日私がどんだけ汗かいてるかわかってんの?
髪ゴムどっかいっちゃったし。
汗っかきキャラになっちゃったらどうしてくれんの?ねえ?』
「テメェはもともと汗っかきぬるぬるキャラだろうが。」
『ぬるぬるは余計だっつの!』
右隣くん、苦笑い。
若干引かれてんじゃん!
どんどん私の評判下がってくよ!!!!
『ねー、なんでジャージ着なきゃだめなの?
なんか先輩に言われてたっけ?』
「あんたの首の後ろのホクロから生えた毛を隠すためでィ。」
『そんなところにホクロないから!
え、ないよね?もしかしてあるの?
てかあるとしたらなんでもっと早く言ってくれなかったの?
私今まで、その毛と16年間過ごしてたの?』
「いや、やっぱ今の嘘。」
もう、暑くて突っ込む気にもなれない。
けど、こういう時の沖田の「罰」は、本気ってことを知ってるから、
簡単には反抗できず。
『あーあ。』
のけぞって、椅子にもたれた。
右隣くんは結局どっかに行っちゃって、
わざわざ沖田が自分の席じゃなくて右隣くんの席に座った。
暑い。早く家に帰って扇風機にあたりたい。
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作者名:ニコ | 作成日時:2020年4月3日 10時