検索窓
今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:88,602 hit

38 ページ36

.






「沖田の髪ってさぁ、」



Aの手が、俺の髪に触れた。



「サラサラだよねぇ〜羨ましいや〜。」



『何言ってやがる。』



「沖田の髪触ってたらまた眠くなってきた……」



「お前、どうせほっぽってたらまた寝るだろィ。

布団入れィ。」



『えー、やだよ、まだ寝たくないよぉ〜。沖田の髪きもちーもん〜。』




やめてほしい。でも、やめないでほしい。

コイツは酔っ払ってこんなことをしてるんであって、

これは本心じゃないのかもしれない。



そう思うと、なぜだか辛い。

それなら、もういっそ何もしないで欲しい。

なのに、やっぱりやめないで欲しい。




無意識に、Aの髪に手を伸ばす。

そうか、コイツ天パだったのか。

柔らかくて、兄とは少し違う天パ。




___髪を手に掬って、綺麗な首筋が現れた時。


その白い首に、1つ、赤い「印」が付いているのを見た。





"んー……神威、戻ってきたの?"




わざとらしく壁を叩いた様な音、開いた窓、この「印」。


頭の中で、全てが繋がったのは一瞬だった。




『……おら、立て。そして布団へ行け。』



「えー。」



赤ん坊のように口を尖らせながら立ち上がったAの足元がふらつく。



『あぶねェなァ。』



肩を組んで、支えてやる。

また、桜を思い出す。



「沖田って、いい匂いする。」



Aが、俺の首筋に頭を埋めた。



「なんか落ち着く〜。」



頭をぐりぐりと、俺に押し付けるA。

肩を組む腕の力を、ほんの少し強めた。

自然とAの体が俺に寄って、そのまま抱き寄せた。



どうせ酔ってるなら、コイツは覚えてないなら、

こうしたって、無かったことにできる。

俺の中だけの間違いにできる。




___そこで、気づいた。

コイツ、酒の匂いに混じって、うっすら桜の匂いがする。





「おきたぁ?」




『……』




今、俺がこいつに、正直に話せる本心なんて、もう何も無かった。






.

39→←37



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (31 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
124人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 学パロ   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ニコ | 作成日時:2020年4月3日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。