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「あ、そういえばさぁ、銀ちゃん。』
「あ?」
ご飯も食べてお風呂にも入って、
あとは宿題をして寝るだけ。
でも、到底やる気が起こるわけもなく。
ソファに上でダラダラするのが、最近の私の日課。
『神楽が銀ちゃんに会いたいって。』
この前一緒にお弁当を食べていた時、
「私も久々に銀ちゃんに会いたいアル!
今度突撃晩御飯するから待ってるヨロシ!」
と言ってたのを思い出した。
「はァ?冗談じゃねェよ。
あいつがうちに来る時は、大体家族で喧嘩した時って決まってんだろうが。
あいつン家の喧嘩止めんのは骨が折れんだよ。」
『まーそうなんだけどさー。』
神楽の家は事情がちょっと複雑で、
ちっちゃい頃から喧嘩ばっかりだった。
その度に神楽はうちにやってきて、銀ちゃんがことを収めてたっけ。
まぁ、最近は神威も暇じゃなくなって、めっきり減ったけどね。
『そういえばこの前、神威に会った。』
「マジでか。あいつ、この辺じゃ有名なヤンキーになってるらしいな。
オメェも他のヤンキーに絡まれねェように気をつけろよ。」
『ヤンキーに絡まれてたところを、神威に助けてもらったんだよね。』
「おい!なんだその話!言わんこっちゃないよ!?何普通に語ってくれちゃってんの!」
『んー、喧嘩にもならなかったし言わなくてもいいかなーって。』
「ったく。そもそも、お前は隙が多いんだから、用心してないとすぐにやられちゃうよ?」
『えー、大丈夫だよ。私カウンター取られたことないし。
絡まれたのも、沖田が無駄にヤンキーたちに突っかかって……』
「ふーん、沖田くん、ねぇ。」
銀ちゃんが不意に、ソファの背もたれに手をかけた。
「男兄弟を持つと、男に対する警戒心がなくなるっていうけど、
ここまで見事な奴もいるもんだなァ。」
その手が、今度は私の顔の前に。
『え、ちょ銀ちゃん?』
何、このデジャヴ感。
ていうか何この状況。いわゆる壁ドン、みたいな?
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「……」
何、その表情。
銀ちゃんは、私が見たことのない顔をしてる。
そんな風に見つめられたら、もう目を反らせないよ。
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『___イテッ。』
デコピン?
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「ほォら、だからお前は隙がありすぎなんだよ。
あんま油断してんじゃねェぞ?」
普段なら怒り出すところだけど、
何だか今日はそんな気になれなかった。
何だか、銀ちゃんが知らない人のように感じた。
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作者名:ニコ | 作成日時:2020年4月3日 10時