19 ページ19
.
「ヤンキーに絡まれたのをヤンキーに助けられただァ?
どこぞのヤンキー漫画だよ。」
「だから助けられたんじゃなくて、
横槍入れられただけでさァ。
何回いったらわかるんでィ土方。」
「さりげなく呼び捨てしてんじゃねェよ。」
「まぁこの辺でヤンキーといったら、
あの春雨高校ってやつだろう。
学校自体は普通だが、噂によると縄張り張って喧嘩ばっかりしてる輩もいるらしいしな。」
結局あの後、あの神威ってヤツがなんなのかは聞かなかった。
Aも特に触れることもなかったし。
俺らは、いつも以上に他愛のない会話をして帰った。
けどやっぱり頭の中からアイツの上から塗りたくったような笑顔は消えず。
少し経って帰ってきた近藤さん(とクソヤロー)に聞いてみることにした。
.
「その学校で5番目に強いっていう百鬼丸先輩もイチコロでしたぜィ。
髪もピンクで、女みてェに長かったんでさァ。
ずっときもちわりィ顔で笑ってやがった。」
「おいそれ、神威ってやつじゃねェか?」
「それでさァ。
Aがそう呼んでました。」
たまにはやるじゃねェかィマヨ方。
「お前、あんま面倒なことすんなよ。
アイツはこの辺のヤンキーの頭だ。
ただもんじゃねェって噂だぜ。」
「それにしても、あの神威とAちゃんが知り合いだったなんてなァ。
世の中意外に狭いんだなァ。
なのに俺、今日もお妙さんに会えなかった……」
「近藤さん、いい加減諦めろよ。
ありゃ避けられてんだろ完全に。」
.
確かに、なんでAとアイツが知り合いなんだ。
高校も違ェのに。
同じ中学なのか、幼なじみ的存在なのか。
__それに、俺が知らねェAのことも、沢山知ってるような風だった。
それを見せつけられたみたいで、なんか気に食わねェ。
___”また遊びに行くね。”
Aに向けられたはずの言葉は、
なぜだか俺に向けられていたように感じる。
「……上等でィ。」
売られた喧嘩は、どんな内容でも買うしかねェよ。
.
124人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ニコ | 作成日時:2020年4月3日 10時