30 ページ30
.
side沖田
『……クソ。』
箱で買ってたアイスバー、切らしてた。
『おい土方ー、アイスバー買ってこーい、箱でー。』
「オメ、先輩パシらせんじゃねェよ。」
『近藤さんに行かせる訳にもいかないでしょー、
早く買ってこい土方ミンチにするぞ。』
「俺ァ今忙しいんだよ!
チキショ、この宿題明日までなの忘れてた。」
『土方さァん、もっとやる時間あっただろィ。
怠けてねェで勉強しろよ。』
「だから忘れてたっつってんだろ!
俺は買いに行かねェからな!」
.
……チッ。
土方は相変わらずむかつく。
けど、今日は土方関係なく、ずっとイラついてた。
なんとなく、最近はイラついてることが多くて、
でも、あの日電車を降りてからは特に。
少しでも何もしてないと、頭にふわっと浮かんでくる長いまつ毛と桜の花。
もう数日経ったというのに、色褪せることなく、
むしろ鮮やかになっていく。
『はァ……』
もういっそ近藤さんに行ってもらおうとも思ったが、どうやら寝てしまったらしい。
『コンビニ行くのめんどくせェ。』
「行かなきゃいいだろ。」
『土方さん、そうやって1人になりたくないからって俺を引き止めないでくだせェ。
女々しいったらありゃしねェや。』
「だ、誰がお前なんか引き止めるか!」
やっぱりちょっと怖いんじゃねェかィ。
外はもう真っ暗だし、わざわざ自分の部屋じゃなくて居間で勉強してる時点でバレバレですぜィ。
部屋行って財布取って……やっぱめんどくせー、
けどアイス食べてェ。し、ちょっと歩きてェ。
『じゃ、俺コンビニいってきやすー。』
「あ、ちょ、総悟おま___」
___バタン。
部屋で震えてろ土方。
通り際、横目で隣の家の窓を確認する。
自分たちの家の間取りでは近藤さんの部屋であるこの部屋は、アイツらの家では誰の部屋なんだろうか。
前に家に行った時も、誰かの部屋には入らなかった。
そもそも、アイツらに部屋はあるんだろうか。
まさか一緒に寝てるとか___
『……あーむかつく。』
アパートの階段を、カン、カンと下ってゆく。
なんで俺がこんなこと考えなきゃいけねェんでィ。
いつも学校帰りに寄るコンビニはこっちにあるけど、
確かこっちにもっと近ェコンビニが___
「……さん、」
___は?
『誰でィ。』
「……さん、銀さん……」
銀さん?
.
124人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ニコ | 作成日時:2020年4月3日 10時