残されていたメッセージ ページ27
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翔が玄関の扉を開ける音で、私は眼が覚めた。
A：「あ、ごめん、翔......勝手に、部屋...」
翔：「はは、別にいいけど......なに、飲んでんの？」
A：「うん......１人で、花見」
私の視線の先の、窓の外の桜を見て、翔も笑う。
翔：「うわっ、寂しーな、お前。
しょーがねーな、付き合ってやるか」
冷蔵庫から缶ビールを2本持ってきて、隣に座る翔。
A：「あの、写真......翔が飾ったの？」
私は机の上の写真立てを指差す。
翔：「え？......あー、そうそう。
智くんのデジカメ見てたらさ
懐かしくなっちゃって、こないだ現像した」
A：「......そう」
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不意に翔が真剣な顔で私を覗き込む。
翔：「ね、A......智くんいなくなってから
あのカメラの中身......見た？」
私は黙って首を横に振る。
智のカメラの中には、思い出の写真がたくさん詰まっていて
私はまだ......それを
「思い出」と......割り切ることができなくて。
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黙って立ち上がった翔が、机の上からカメラを取って戻ってくる。
カメラを操作した翔が、「これ、見て」と私に見せたものは...
A：「え？ なにこれ......動画？」
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智：「......はーい......外は...桜が満開でーす」
聞こえてきた懐かしい声に、私は画面にくぎ付けになる。
日付けを見ると、智が亡くなる前日で
A：「智......いつの間に......」
おそらく、私が頼まれてアパートから持っていったカメラで
智自身が撮影したであろう、動画。
病室の窓からの桜を映した後、
サイドテーブルの上にデジカメがセットされたのだろう、
映像は智のアップの顔からズームアウトし
ベッドの上に枕を抱えてちょこんと座る、智の姿へと変わる。
すでにだいぶ痩せてしまって顔色も悪いけど
智はどこか達観したような
すごく穏やかな顔で笑っていて......。
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智：「......んーと。
A？......なんか.......こうしてしゃべるのは
少し照れるね......。でもオイラ...
どうしてもAに、伝えたいことがあります」
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ラッキーアイテム
革ベルト
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