同じ瞬間 〜雅紀side ページ7
Aちゃんは、公園から5分ほどのマンションの前で立ち止まり
A：「じゃ、私はここで」と頭を下げる
雅：「あの…もし、カメラ壊れちゃってたら
オレ、弁償しますから」
A：「そんな、大丈夫ですよ。ほらっ」
そう言ってカメラの電源を入れる
A：「ね？ちゃんと動きますから」
そう言って見せてくれたカメラの画面には
水たまりに映った、青い東京タワーの写真
雅：「すごいっ、ちょーキレイ。
え、Aちゃん、写真家さんとか？」
A：「まさかー。単なる趣味ですよ」
雅：「そーなんだ」
.
雅：「ほんと、ごめんねっ」
最後にオレがもう一度謝ると
Aちゃんはくすっと笑って
『ううん、むしろ、よかったです。
キレイな東京タワーも見れたし、
相葉さんにも会えちゃったし。』
そう呟いて、いたずらっぽく微笑むAちゃんは
A：「あの、このタオル
すみません、汚しちゃって…」
雅：「いやいや全然。それ、返さなくていいですから」
Aちゃんはもう一度ふわりと微笑むと
おやすみなさい、と頭を下げてマンションに入って行った
オレは小さく手を振り
見えなくなるまで見送ってから、家路につく
帰り道、浮かんでくるのはAちゃんの
オレを見上げる大きな瞳と、屈託のない笑顔
そして甘く響く声
『相葉さんにも会えちゃったし』
ねー。Aちゃん、それ、どういう意味？
オレ、期待していいと思う？
胸の中のお嬢に訊いてみる
黒い瞳でオレを見上げるお嬢
ありがと。おまえのおかげで…また会えたよ。
もう一度振り返ってAちゃんのマンションを見上げる
後には青く光る東京タワー
空が晴れて月も見えてる
あっ、…タワーのライトが…消えた
.
Aちゃん、いま同じ瞬間を、部屋から見てたかな？
ね、また、きっとさ。
この街のどこかで、会えるよね？
.
「気になってんの？」 〜雅紀side→←偶然 〜雅紀side
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