いろんなキミ 〜雅紀side ページ37
雅：「…A？」
まだ少し苦しげな息でオレの胸に顔をうずめるAを
オレは不安になって呼ぶ
A：「まさ…き…」
Aが掠れた声でオレを呼び返す
しっとりと汗に濡れた背中を抱き
柔らかな髪を撫でると
Aの甘いにおいとシャンプーの香りが混じりあい
オレは急に嬉しいような切ないような
変な気持ちになって
鼻の奥が…ツンとする
雅：「A、ごめんね。
オレ、あんまり余裕がなくて
次はもっと、優しくするからね」
Aは顔を上げてうふふ、と笑うと
オレの首筋にキスをして
A：「雅紀…。
次って、私……しばらく、ムリよ…」
雅：「え？ ムリ？」
だって…もう、力が入らない…
そういって照れ笑いするAを見ると
あぁ…カワイイ
かわいすぎて
オレは、ごめん、逆に
もう…いつでも、大丈夫
でも、そっかあ…ちょっと、休憩ね？
.
Aの華奢な身体を抱きながら思う
Aは本当にいろんな表情を見せてくれる
照れて笑うかわいい顔
お酒を飲んだとき隙だらけの顔
大好きなことについて話すときのキラキラした目
オレの身体の下で見せる艶やかで色っぽい表情
でも欲望は果てがなくて
オレは、もっともっといろんなAを知りたい
もし、悲しいこととか、寂しいこととかあるなら
オレはそれさえも全部、受け止めたいよ
Aを胸に抱きしめたまま訊く
雅：「A？…前も訊いたけどさ
オレたちが出会った頃、なんか悲しいことあったの？
ほら、お仕事を、休んでた理由」
A：「ん？…どうして？…突然そんなこと」
雅：「もし話したくなければいいけどさ
もし…気が楽になるなら…話きくよ？」
A：「でも、話きいたら…すごく情けない話だから
私のこと、イヤになっちゃうかもよ？」
雅：「ならないよ」
なんでわかるの。
そう言ってAは笑うけど
わかるのっ
オレには、自信があるの
別に根拠はないけどさ
どんなAも
ずっと好きでいるって
.
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