ミスチョイス 〜雅紀side ページ33
Aが用意してくれてたのは、カレーライス。…オレのリクエストで。
電話の向こうで、Aにはちょっと微妙な声をされたけど。
雅：「あ。うまい！ これ、ちょーうまいよ、A」
A：「そお？よかった。…ま、カレーだけどね」
雅：「ううん。最高！
このルーと柔らかい鶏肉のハーミングが、もう絶妙だねっ」
A：「……あ、ハーモニーね？」
大爆笑のA
前も、オレ間違えたな。で、翔ちゃんに怒られた
A：「でも嬉しいな。
私、ご飯をおいしそうにもりもり食べてくれる男の人って、すごく好き」
缶ビール1杯で顔が真っ赤っかなAは
楽しそうにオレを見てる
雅：「じゃ、おかわり」 すかさず皿を出す
けど、よく考えたらさ、今の発言って
過去にもそんな男がいたのかな、とか思っちゃって
軽くジェラシーだわ
食事を終えてくつろぐオレ
Aのシンプルだけど女の子らしい部屋を見回す
本棚にはたくさんの本
心理学…社会学…なんだか難しそうな文字が並んで
そっか。お仕事に使うのか。
雅：「A、写真、見てもいい？」
壁にかかったコルクボードの一面に貼られた写真
単なる趣味って言うけど、ほんとすごいよ
雅：「やっぱ東京タワー、大好きだよね？」
Aが立ち上がってオレの横に並ぶ
A：「そ。たくさんあるでしょ？
東京に住むようになってからずっと、私の心の支え」
いろんな時間の、いろんな角度からの東京タワー
あ、これは。こないだ、オレにくれた写真だ
雅：「これさ、オレも部屋に飾ってるよ」
A：「ほんと？…嬉しい…」
驚いた様子で
大きな瞳を見開いてオレを見上げる
その顔があまりに可愛くて
そおっと、Aの唇に近づく。
…え？ 避けられた？オレ
雅：「…ごめん」
なぜか謝っちゃうオレ
A：「あ、違うの。ごめん。
あのちょっと待ってて」
慌てて洗面所に行ってしまう
あー。そっか
最初のキスが…カレー風味じゃあね
つうか、あれか。オレの…チョイス？
雅：「ねーA―、オレのもある？歯ブラシー」
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ラッキーアイテム
革ベルト
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