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真夜中の動物病院 〜雅紀side ページ2
すると。
さっきまで誰もいなかった待合室に
一人の女の子が座っていて。
腕の中には本当にまだ小さな黒い子犬
オレはさりげなくキャップを深くかぶり直すと
少し離れて椅子に座る
もう1時なのにな。
この子のワンコも、元気なくなっちゃったのかな。
「女の子」、と思ったけど
案外同い年くらいっぽい。
全然お化粧してないから若く見えたけど。
すごく…きれいな人。
なにげなく観察するうちに
思わず…見とれちゃってた
でも、彼女はオレに全然気づいてないみたいで
大きな瞳を悲しそうに曇らせて
腕の中のワンコを心配そうに見つめてる
「あなた、なんて名前なの？
きっと…豆柴ちゃん、なのよね？」
ええ？ なあに？
自分の犬じゃあないの？
けど、なんで、こんな時間に、知らない犬を？
「困ったなあ。
私…動物のことは、全然わからないのに」
ため息とともに独り言を言う
診察室から名前を呼ばれ、慌てて立ち上がった彼女は
すごく華奢で、頼りなくて
ほんとはキミが元気ないんじゃないの？って
なんとなく直感的に思ってしまった
ふーん。『サクライ』さん、か
翔ちゃんと同じ名前だ
オレは一瞬見かけただけのその子のことが
なんとなくずっと、記憶の中に残ってた
.
ラッキーアイテム
革ベルト
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