406.私ばっかり ページ9
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「……ハンビン、もう寝たら?」
取り留めない会話をしている(途中ユジンがものすごいいびきをかいたから、申し訳無いけれど二人で笑ってしまった)うちに、ハンビンがうつらうつらしてきて。流石に付き合わせ過ぎちゃったな。反省しながら言うと、ハンビンは「……いや……まだ……」と首を振った。
「無理しないで。全然寝れなくてごめん」
「ううん……確かにナナが寝るの見届けたいけど……それ以上にナナと話すの楽しいから……話せなかった分たくさん話したい……」
ぱちりと瞬きをしてから、ハンビンが発した言葉を頭の中で繰り返して。私とハンビンは同じ気持ちなんだと、心がじんわりあたたかくなった。
本当に嬉しいし、できることならずっと話していたいけれど、流石にハンビンを寝かさないと明日に支障が出てしまう。そう思って「また明日話そ。同じグループだからいつでも話せるでしょ?」と笑うと、ハンビンはしばらく私をじっと見つめた後に「うん……」と口にした。納得してくれたみたいだ。
「……ナナ、……」
「ん?」
「ナナがいちばん辛いとき、そばにいてあげられなくてごめん……」
「……もう、大丈夫だって。今こうやってそばにいてくれてるでしょ。ありがとう、ハンビン」
そう言った私を見て、ハンビンはまだ未練がありそうな顔をして。ゆっくりと手を伸ばした。
「ナナ……俺、もう……」
「もう? ……あ、寝ちゃった……」
何かを口にしながらハンビンは私の手を取ろうとしたのだと思うのだけど、その前に眠りについてしまった。ハンビンは何を言おうとしたのだろう。
(ハンビンのまつ毛、こうやって近くで見ると本当に長くて綺麗だな……)
ハンビンも寝たし、自分の部屋に戻ろうとしたけれど。なんだか動く気になれなくて。ぼんやりとハンビンの綺麗な寝顔を見ていた。
(量も多いし、何か塗ってたりするのかな……って、危ない危ない……)
思わずそのまつ毛に触れそうになって、手を引っこめる。流石にこれは駄目だ。ハンビンを起こしてしまうかもだし。
(やっぱり、私ばっかり貰ってるよなあ……)
ふと思う。ハンビンが「俺ばっかり貰ってる」と言ってたけど、どう考えても逆だ。私ばっかりハンビンから貰っている。
どうしたらハンビンが私を与えてくれる分を返せるのだろう。そんなことを考えながらハンビンを見つめているうちに、意識がぼんやりとしてきて。私はゆっくりと目を瞑った。
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アップルパイ(プロフ) - Rさん» いつもありがとうございます! 久しぶりの更新になってしまい申し訳ないです🥲 また早めに更新できるように頑張るのぜひ楽しみにしていただけたら幸いです……!🙇🏻♀️՞ (1月9日 10時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
R - いつも楽しく読ませて頂いています!更新楽しみに待ってます! (1月8日 2時) (レス) id: 0e71c92fc7 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - おーるいんさん» こちらこそ読んでいただきありがとうございます! そう言って貰えると更新する活力になります〜! これからもソンハンビンくんたくさん出てくると思うので、楽しみにして貰えたら嬉しいです☺️ (12月9日 0時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
おーるいん - 忙しい中更新ありがとうございます!めちゃくちゃ大好きなお話で、毎回とっても楽しみに待ってます!ハンビンのストーリー多くて嬉しいです^_^ (12月3日 8時) (レス) @page13 id: 50f65acc84 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - abcdさん» ありがとうございます! 展開がゆっくりな分、なるべく更新は早くできるように頑張ります! これからも楽しんで頂けたら幸いです🙌 (12月2日 1時) (レス) @page14 id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アップルパイ | 作成日時:2023年11月28日 15時