405.ずるい男 ページ8
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「あ、話ずれちゃった。それで、ケイタとユジンと三人でラップ見てたんだけど……いつの間にかそのまま全員寝落ちしちゃったんだよね。今こうやってハンビンと一緒にいてなんか思い出しちゃった」
「え゛」
私が明るい笑顔をつくりながら言うと、途端にハンビンが固まった。
「ん? どうしたの?」
「いや……えっと……つまりひとつのベッドで、ナナはユジンとケイタと一緒に寝てたってこと……?? だよね……???」
「ん? ……ああ、俺はベッドの下で寄り掛かりながらだけどね。ちゃんとベッドの上で寝てたのはケイタとユジン。二人は綺麗に仲良く寝てたけど、流石にシングルベットで3人は寝れないよね。俺まで入ったら重なってぐえっ!ってなりそうだし、誰かがベッドから落っこちそう」
「そ、そっか……だよね……」
すごく安心したような顔を見せるハンビン。一体何に対して安心してるんだろうか。落下事故が起きなかったことだろうか。そんな風に不思議がる私に、ハンビンは「あっ、そのときはちゃんと寝れたの?」と聞いてきた。
「ぶっちゃけ何時に寝たとか覚えてないからあれなんだけど、まあそれなりに寝れたんじゃないかな」
夢見は良くなかったけれども。内心そう苦笑いしながら言うと、ハンビンは「なら良かった」と言って。
「じゃあやっぱりベッドで話すの、効果あるんじゃない? これ正解だったね」
「……仮に効果があるとして、そのためにそれを続けたら俺、毎日他人のベッドで寝落ちする明らかにヤバいやつだよね……?」
「……ナナ、もしかして俺以外にやろうとしてる……?」
「そんな訳……俺も嫌だし、頼まれる方も絶対嫌でしょ。ハンビンくらいだよ、こんなこと言い出すの。本当にハンビンって優しいよね」
私がそう言うと、ハンビンは首を振った。
「そんなことないよ。俺、全然優しくない」
「ええ? 優しすぎて変なくらいなのに。ハンビンってほんと謙虚だね。らしいけどさ」
「……ナナが俺のこと優しいって思ってくれるのは嬉しいけれど……俺、すっごくずるい男だよ」
「ズルい? ハンビンが?」
こんなにも真面目で、明るくて優しいハンビンがズルいわけない。優しすぎて変に続いて、謙虚すぎて変になっている。
そんなことを思いながら、「こんなに俺に色々してくれるハンビンがズルかったら、世界中のみんなズルい人になっちゃうよ」と口にする。それにハンビンは眉を下げて、困ったように笑った。
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アップルパイ(プロフ) - Rさん» いつもありがとうございます! 久しぶりの更新になってしまい申し訳ないです🥲 また早めに更新できるように頑張るのぜひ楽しみにしていただけたら幸いです……!🙇🏻♀️՞ (1月9日 10時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
R - いつも楽しく読ませて頂いています!更新楽しみに待ってます! (1月8日 2時) (レス) id: 0e71c92fc7 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - おーるいんさん» こちらこそ読んでいただきありがとうございます! そう言って貰えると更新する活力になります〜! これからもソンハンビンくんたくさん出てくると思うので、楽しみにして貰えたら嬉しいです☺️ (12月9日 0時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
おーるいん - 忙しい中更新ありがとうございます!めちゃくちゃ大好きなお話で、毎回とっても楽しみに待ってます!ハンビンのストーリー多くて嬉しいです^_^ (12月3日 8時) (レス) @page13 id: 50f65acc84 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - abcdさん» ありがとうございます! 展開がゆっくりな分、なるべく更新は早くできるように頑張ります! これからも楽しんで頂けたら幸いです🙌 (12月2日 1時) (レス) @page14 id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アップルパイ | 作成日時:2023年11月28日 15時