「君は悪くない」9

434.ウィッグ ページ37

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「みんなどう？ 俺の格好」

 変身し終わったお姫さま役の練習生が登場したあと、いよいよ競技が始めるということで。お姫さま役のジウン兄さん、騎士役のハンビン、マシュー、スンオン、ユジンと一緒に円の中に入って、ジウン兄さんを守るようにみんなで腕を組み合ったところで、ジウン兄さんがそう聞いてきた。

 ジウン兄さんの顔を改めてまじまじと見てから騎士役のみんなと顔を見合わせれば、シンクロするようにみんなが吹き出す。集中力が切れるから、勝負の前にこの話はやめて欲しかった。


(さっきのジウン兄さん……すごかったな……)

 さっきの、完全に振り切ってまるで童話のお姫様のようにルンルンで登場するジウン兄さんの姿が頭に浮かぶ。
 ドンゴンとドハの女装は純粋に可愛い、似合うな、と思ったけれど、ジウン兄さん含めたその後の三人は完全に面白いが勝ってしまった。



「そんなに似合ってない？」

「えーっと……ジウン兄さんが悪いというよりはそのウィッグとの相性が良くなかったかな……みたいな感じですねかね……違うウィッグでメイクも女装用にちゃんとしたら全然違和感ないと思うんですよね……」

「そうですね……ウィッグが悪いですね……想像していたよりは全然壊滅的じゃなかったですけど……」

「逆にジウン兄さんは似合ってるって思ってるんですか？？ 全然似合ってないですよ。やばいですほんと」


 私とスンオン、ユジンがジウン兄さんは悪くないことを強調してなるべくオブラートに包んだのに、マシューがばっさり「似合ってない」と言ってしまったから、つい苦笑いをする。
 マシューの言葉にジウン兄さんは「ひどいなあ、俺は結構気に入ってるのに。傷つくよ」とか言っているけれど、ニコニコ笑顔だし全く気にしてなさそうだ。



「他のみんなのウィッグなら似合うかもですよね」

「確かにそうですね」

「あ、なら他のお姫さまのウィッグ奪おっか。それでどれが一番似合うか試そう」

「そんな追い剥ぎみたいな……」


 ハンビンとユジンにそう返すジウン兄さん。ウィッグとはいえ、髪の追い剥ぎなんて惨すぎる。



「全員のウィッグ取って試せたらさ、ついでにナナもつけようよ」

「絶対嫌ですよ」

「いいじゃん減るもんじゃないし」

「俺の尊厳が削られて減ります」


 はっきりNOを示す私を無視して、ジウン兄さんは「ナナは今ピンク髪だし、ドハのが一番違和感ないかな？」と言っていて。本当に勘弁してほしい。




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