「君は悪くない」7

346.いつも通り ページ49

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「SEVENTEENの『Home』は、ナナ練習生が制作に携わったものですよね」

「はい。自分が作詞をしました」


 ステージの上で挨拶をしたあと。ミニョク先輩が私の方を見てそう言ったので、私は頷いた。


「サバイバル番組で作詞者自身がカバーをする、というのはなかなかないですよね。先程もナナ練習生がこの曲をやるということで、観客からは大きなどよめきが上がりました」

「あはは……もう四年以上も前のことで、忘れていたりそもそも知らない人も多いと思っていたんですけど……意外と皆さん覚えていてくださってて驚きました」


 ミニョク先輩の言う通り、観客席のスタークリエイターの方が『Home』のメンバーの中に私が居ると気づくと、会場の空気が明らかに変わった。大きく口を開けて驚く人、ひそひそと周りと話す人、ただ呆然と私を見つめる人。会場全ての視線が私に集まっているようですごく痛かったけれど、それでも私はいつものように微笑んでみせた。

 少なくとも、今の時点でここにいるスタークリエイターの方は私の明らかになった秘密は知らない。今日の私ができるのは、見に来てくださった方に過去とかそういうもの関係なしに純粋に良いと思えるパフォーマンスを見せることだ。だから、今は何にも思ってない、平気な振りを演じるしかないんだ。



「当時N͜͡umberとしてデビューして間もなかった、なんならこの曲を作っているときはデビュー前だったと思います。そんなナナ練習生が作詞をしたということで、N͜͡umberのナナは一体何者なんだとかなり話題になっていましたよね」

「そんなこともありましたね。あの時は本当に運が良かったというか……まだまだ未熟だった自分に貴重な経験をさせて下さったウジ先輩を始めとしたSEVENTEEN先輩にはとても感謝しています。この経験が、その後の自分の曲作りにも生かされたので。……こうやって課題曲として向き合うことで改めて気付いたし、いつか、また先輩達にお礼を言える機会があればなと思います」

「自分もその日が来ることを願ってます。デビューして、ステージで再会できるといいですね」



 ミニョク先輩が優しく笑ってから、「……話は変わりますが、」と続ける。



「ナナ練習生は作詞だけじゃなく、この曲を実際にカバーしたこともありますよね。だからこそ苦労したことなどはありますか？」

 ミニョク先輩も台本でこんな質問をさせられるなんてかわいそうだな、そう思いつつ、私は口を開いた。





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