「君は悪くない」7

331.想いの結晶（チ・ユンソ） ページ34

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「当然、ウジ先輩にコンセプトやら歌詞に悩んでたことがバレちゃって。誤魔化したってもう意味ないから、さっき言ったみたいに先輩達の魅力が発揮できて売れる曲を考えてたら行き詰まってしまったことを正直に明かしたら……ウジ先輩が『そんなこと考えなくていい』って言ってくださったの。
俺はナナがメンバーのことを考えて書く、綺麗で優しい歌詞が好きなんだって。だから……今までつくってきた曲達みたいに、ナナの大切なものを思い浮かべながら、何のしがらみもなく、ナナの好きなように書いて欲しい。それを俺の作曲で、メンバーのパフォーマンスでSEVENTEENの曲にするからって」

 優しいしかっこいいよね、ウジ先輩。ナナ兄さんが微笑みながら言う。その表情は、ここ数日見た中ではいちばん穏やかで、自然体に見えた。

 ナナ兄さんがSEVENTEEN先輩、特にウジ先輩の名前を口に出す時に、普段よりも少しだけ表情と口調が軽くなることを思い出しながら考える。きっと、フェテク兄さんのように、ナナ兄さんはウジ先輩のことをとても尊敬しているのだろう。
 ナナ兄さんがこの番組に参加しなければ、この話が表に出ることは一生なかったんだろうな。そう思うと凄くもったいない気がしたし、きっとまだたくさんあるだろうエピソードを知りたいと思った。



「ウジ先輩の優しさに甘えて、今まで通りN͜͡umberのメンバーのために書こうって決めて。それで今まで書いた、デビューシングルで発表する予定の曲も、結局その中には入らなかった曲も、とにかく曲作りに慣れようと書き殴った曲も、2ndシングルに向けて構想途中だった曲も、全部を見返したんだけど……そこでふと思ったの。上手く書けたなと思えた曲も、逆にこの曲はダメだな、ボツだな、と思った曲も、どれもメンバーへの想いの結晶で、とても大切なものだってことは変わらないってことを。そして何より、この曲達はN͜͡umberのみんなに出会わなきゃ……ヨンジュに憧れてアイドルの道に進まなきゃ生まれなかったんだなって」

「……ヨンジュさん、ですか？」

「うん。俺がアイドルになろうと思った理由、一番はヨンジュなんだよね。ヨンジュみたいな、どこまでも自由で、たくさんの人を明るく照らす太陽になりたかった。……見た目も性格も全然違うから、それは無理だったんだけどね。結局、正反対のアイドルになっちゃった」


 スンオンの問い掛けに、ナナ兄さんは「いいんだけどね」と眉を下げながらそう答えた。





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