318.天性のアイドル ページ21
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チーム自体は違うけれど、ウンギの『Feel Special』チームは私と同じボーカル&ダンスポジションだから、練習やレッスンの様子からウンギのチームが上手くいっていないことはなんとなく感じ取っていた。
他にできる人がいないからとウンギはセンターに加えてメインボーカル、更に言えば創作ダンスや構成、編曲も全部一人で受け持ったらしく。明らかにウンギに負担が集まっていたし、チームの雰囲気も下降気味というかあまり良くなさそうで、心配だった。
(こうなるなら、私がもっとウンギを気に掛けた方が良かったのかも……)
大変そうなウンギを見かねて「大丈夫?」と声を掛けたり、悩んでいた構成や編曲にアドバイスをしたこともあった。それでも、私も自分やチームのことがあったから全てを助けられたわけじゃない。
ウンギがいつも「大丈夫です!」とか「ナナ兄さんがアドバイスしてくれたし良いステージになると思います! いや、ぜったいにする!」と笑顔を見せてくれたから、きっと大丈夫だろうと思っていたけれど、本当はもっと助けてあげなきゃだめだったんだ。そんな後悔と罪悪感が、胸をずきずきと刺す。
「……ウンギは今までずっと頑張ってきたから、報われるはずだよ。大丈夫、上手くいく」
それでも、過ぎてしまったことはどうしようないから。せめて今、こうやって私を頼ってくれるウンギが元気になるように。
私はウンギの背中に手を回して、ゆっくりと撫でながらそう口にした。自分からこんなことをするのはほとんどないから、なんだか動作がぎこちない気がするのは許して欲しい。
「ウンギはいつもキラキラ眩しくて、沢山の人を笑顔にしてくれる。可愛いしかっこいい、天性のアイドルだよ」
「……う、ん」
鼻をすするような音がしてから、ウンギは「ありがとうございます」と呟いた。
「なかなか上手くいかなくて、もうだめかもって自信なくなってたし、今もまだ不安だけど……ナナ兄さんのおかげで元気出てきました。そうですよね、僕は最高に可愛くて最高にかっこいい、最高のアイドルですよね」
「そうだよ、ウンギはちょーかわいくてちょーかっこいいアイドルだよ」
「……はい! なんなら可愛さはナナ兄さんにも負けないですもんね!」
「まあ、そうだろうね……? 俺には可愛さとかないし……」
そんなことを言っている間にウンギは「充電終わりました!」と言って、抱きつくのをやめてとびきりの笑顔を見せてくれた。
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アップルパイ(プロフ) - 7さん» N͜͡umberのメンバーまで好きでいてくれて嬉しいですし、素敵なボイプラ関連の作品がたくさんある中で一番好きと言っていただいてとても恐縮です……! まだまだ長いとは思いますが、完結まで書きたいと思っているので、これからも読んでいただけたら幸いです。 (10月6日 20時) (レス) @page27 id: ce8ce21ff5 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» コメントありがとうございます! しばらくシリアスなシーンが続きますが、これからも読んでいただけたら幸いです! 本当に展開が遅くて申し訳ないのですが、更新頑張ります! (10月6日 19時) (レス) id: ce8ce21ff5 (このIDを非表示/違反報告)
7 - N͜͡umberのみんなに会いたくなるしYouTubeでMilkywayの映像を検索したくなりました。ボイプラ系の中で一番好きな作品です。ぜひ完結までいってほしいです。応援してます (10月3日 14時) (レス) @page27 id: 643f8a8165 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - 主人公の気持ちが細かく描かれていて凄く悲しくなりました。続きを楽しみに待ってます。 (10月2日 23時) (レス) @page27 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アップルパイ | 作成日時:2023年9月17日 5時